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教員採用の早期化や複数実施、氷河期世代の積極検討…文科省が通知

 文部科学省は2025年6月24日、教員採用選考試験の実施に関する留意点について、各都道府県・指定都市教育委員会に通知した。教員採用選考試験の早期化や複数回実施とともに、就職氷河期世代など教職経験のない者への一部試験免除や加点措置の積極的な検討を求めている。

教育行政 文部科学省
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 文部科学省は2025年6月24日、教員採用選考試験の実施に関する留意点について、各都道府県・指定都市教育委員会に通知した。教員採用選考試験の早期化や複数回実施とともに、就職氷河期世代など教職経験のない者への一部試験免除や加点措置の積極的な検討を求めている。

 文部科学省は、2023年5月に公立学校教員採用選考試験の早期化・複数回実施などの方向性を提示。第217回国会で可決・成立した給特法等一部改正法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律)の附帯決議でも、教員採用選考の実施時期や回数などについて工夫改善が促されている状況や経緯を踏まえ、あらためて留意点を周知した。

 おもな内容は「教員採用選考試験における第一次選考日程」「教員採用選考の複数回実施」「教員採用等に関する取組」の3点。

 教員採用選考試験の第一次選考日程については、教師志願者の増加を図り、質の高い教師の確保につなげる観点から、早期化を進めるという方向性に加え、2025年度試験(2024年6月16日)と2026年度試験(2025年5月11日)は標準日(目安)が示された。通知では、依然として受験者の減少傾向が続いていることを受け、採用選考の実施日程、最終合格発表の日程のあり方について検討を続けるよう求めている。

 教員資格認定試験については、2026年度は2026年5月10日の実施を予定。2025年度と同様、試験実施日をあわせる場合は、文部科学省から教員資格認定試験(小学校)の問題を参考提供することが可能だとしている。

 教員採用選考の複数回実施は、筆記試験の一部を大学3年生で受験できる仕組みや、秋期から冬期にかけて追加的に採用選考の機会を設ける取組みが拡大。文部科学省では、引き続き、受験機会の充実について工夫改善に努めてほしいとした。秋期から冬期の活用を想定した教養試験問題は、文部科学省の委託事業として2025年度も作成予定。

 また、大学3年生等を対象とした選考試験の実施にあたっては、受験者が在籍する大学の学事日程などに配慮して十分に調整。大学の推薦を前提とするなど、質の高い教師人材確保の必要性と、大学の教育活動の円滑な実施との調和がとれた形で、適正な規模での実施となるよう求めている。

 教員採用等に関する取組みについては、特別免許状の授与を前提とした民間企業等勤務経験や博士号の取得等を加味した特別な選考、国際的な活動経験を加味した選考、育児や介護等で退職した者を対象とした選考、採用選考受験後に2年間程度教員免許の取得猶予を設けた選考など、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築に向けた工夫を依頼。長く教壇を離れていた者や特別免許状の授与を受けた者などを対象とした選考を実施する際は、入職者の不安を軽減し、円滑な入職につなげるため、最新の教育事情に関する研修などを適切な時期に実施するよう努めてほしいとした。

 新規学卒者の就職が特に厳しく、大学卒業時に教員になれなかった「就職氷河期世代」への配慮にも言及。就職氷河期世代を含め、教職経験のない者に対する一部試験免除や加点措置などを積極的に検討するよう要請している。

《奥山直美》

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