全国自治会は2025年4月23日、高校授業料の無償化に関して、公立高校に対し財源措置を含めた支援強化を求める緊急提言を政府に提出した。さらに私立高校への進学者が増えれば、公立高校の小規模化や再編統合が加速し、地域社会そのものの衰退も招きかねないなどと指摘した。
緊急提言「いわゆる『高校無償化』に関する緊急提言」は、大村秀章 文教・スポーツ常任委員会委員長(愛知県知事)が、あべ俊子文部科学大臣に手交。2026年度からの制度実施に向けて、公立高校への支援を含む教育の質の確保、私立高校等への加算金額、安定財源の確保などについて要望した。
無償化については、多くの生徒にとって私立高校への進学がより大きな選択肢となると同時に、公立高校の小規模化や再編統合が加速化すると指摘。特に中山間地域では、地域社会そのものの衰退を招きかねないとして、財政支援制度の創設など抜本的な拡充を求めた。
具体的には、喫緊の課題である老朽化への対応や、教育DXへの対応、空調等の設備・備品等整備への財政支援に加え、教職員の配置を含む高校の指導体制の充実を図ることなどをあげている。
また、私立高校等への加算金額については、授業料の実態に基づく、適切な支援額の算出を要望。いわゆる便乗値上げが懸念されていることから、私立高校等の自主性を妨げることなく、合理性のない値上げを抑える適切な仕組みを検討するよう求めている。