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Libry×カシオ、教科書横断でプリントを作成する新サービス「Q.Bank」を発表

 Q.Bankは、教科書の数学問題を横断して選択・編集しオリジナルの試験問題や補助教材を作成できるプリント作成ツールだ。日常のプリントやテスト作成を支援し、教育現場の働き方改革と教育の質向上を同時に実現することを目指している。

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Q.Bank発表会のようす
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  • Libry 代表取締役CEOの後藤匠氏
  • カシオ計算機 教育BU 事業部長の佐藤智昭氏
  • Libry 代表取締役CEOの後藤匠氏(左)とカシオ計算機 教育BU 事業部長の佐藤智昭氏(右)

 Libry(リブリー)とカシオ計算機は、高等学校の数学の問題をクラウド上で選択・編集し、試験問題や補助教材を作成できる「Libryプリント作成ツール Q.Bank(キューバンク)」を2026年3月にリリースすることを発表した。

 Q.Bankは、教科書の数学問題を横断して選択・編集しオリジナルの試験問題や補助教材を作成できるプリント作成ツールだ。日常のプリントやテスト作成を支援し、教育現場の働き方改革と教育の質向上を同時に実現することを目指している。現在、実教出版、新興出版社啓林館、第一学習社、東京書籍の4社の問題提供が決定している。

 Libryは現在、デジタル教科書・教材のプラットフォーム「Libry」を全国の中学校・高等学校向けに提供しており、全国の高校の約10校に1校以上が導入。進学校での導入では4校に1校の割合に達している。一方、カシオ計算機は数学ツールや電子辞書に強みをもち、世界100か国以上で教育サービスを提供している。2024年5月のカシオ計算機によるLibry子会社化以降、初の共同事業としてQ.Bankの開発を進めてきたという。

コンセプトは“みんなで教育の未来をつくる”

 Q.Bankは「みんなで教育の未来をつくる」というコンセプトを掲げている。テクノロジーやAIが当たり前になる社会において、テクノロジーは人と人とのつながりを促進する力をもつ。「Q.Bankはこの力を生かし、全国の出版社や学校の先生同士をつなげ、みんなで力を合わせて子供たちの学習環境をより良いものにすることを目指している」とLibry後藤匠社長は意欲を見せる。

Libry 代表取締役CEOの後藤匠氏

出版社横断で問題を検索・編集が可能

 Q.Bankは、教科書を含む200冊以上の教材から8万問以上の問題がデータベース化される予定だ。これにより、教員はさまざまな出版社の教材から問題を選び、プリントを作成することができる。

作成した良問を全国の先生とシェアできる「シェア機能」

 先生が作成した良問を「マイ問題」として登録、全国の先生に共有し、プリント・テスト作成をより簡単に実現。知的財産権の保護にも配慮し、著作権侵害にならないよう適切な運用を検討しているという。

ClassPad.netの開発で培った知見を生かした数式エディタ機能

 カシオ計算機は2018年からICT学習アプリ「ClassPad.net」を提供し、世界中の教育現場の声を聞きながら開発を進めてきた。この開発過程で培った使いやすい数式エディタ技術をQ.Bankに組み込むことで、プリント作成の効率化を図るとしている。

カシオ計算機 教育BU 事業部長の佐藤智昭氏

 Q.Bankは当初、紙での印刷を前提としたプリント作成ツールとしてスタートするが、将来的にはオンラインでの宿題管理やCBT(Computer Based Testing)対応も視野に入れている。日本の教育現場でもCBT化の流れがあり、全国学力・学習状況調査のCBT化が進められていく中で、学校での需要や対応などを見極めながら拡充を進めていく方針だ。

 また、動的な作図機能の追加も予定されている。カシオ計算機のClassPad.netですでに実装されている技術を活用し、動きのあるグラフや図形を作成できるようにすることで、より理解を深める教材作成を支援する。


 Q.Bankは、カシオとLibryの強みを融合させた新しい教育支援ツールといえよう。出版社横断の問題データベースと先生同士の問題共有機能により、教育の質向上と先生の働き方改革を目指す。今後、対象教科や機能の拡充も計画されており、両社の協業による新たな価値創造が期待される。

《足立 陸》

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