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【相談対応Q&A】学校で通学路指導をしてほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第221回のテーマは「通学路指導を教員にしてもらいたい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第221回のテーマは「通学路指導を教員にしてもらいたい」。

登下校の安全の確保は保護者の責任

 子供の通学に関することは、学校(教員)と家庭(保護者)の関係でよく話題になります。この連載でも2020年10月に執筆した「通学路指導に教員が立番すべき」は、とてもよく読まれています。この連載は今回で221回目になるのですが、もっともアクセス数の多い記事です。学校関係者にとっても、保護者にとってもさまざまなトラブルがあり、気になることが多いテーマだと思います。

 登下校の安全の確保は基本的には保護者の責任となります。登下校に関することは、学校保健安全法で定められています。学校保健安全法第27条、第30条では、学校や教師の果たす役割について「登下校の際の交通安全のルールを教えること、警察や保護者と連携をすること」とされています。教えることや連携することなどは学校の役割ですが、実際に登下校の安全を確保するのは学校の役割ではないということになります。

 2017年12月に文科省から出された「学校における働き方改革に関する緊急対策【概要】」に「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」が示されています。登下校に関する対応は、「基本的には学校以外が担うべき業務」にあげられています。

基本的には学校以外が担うべき業務

・登下校に関する対応
・放課後から夜間などにおける見守り、児童生徒が補導された時の対応
・学校徴収金の徴収・管理
・地域ボランティアとの連絡調整

学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務

・調査・統計等への回答等
・児童生徒の休み時間における対応
・校内清掃
・部活動

教師の業務だが、負担軽減が可能な業務

・給食時の対応
・授業準備
・学習評価や成績処理
・学校行事の準備・運営

 私が小学校の教員を辞め、研究職に移ったのが8年前(2017年)です。「基本的には学校以外が担うべき業務」に書かれているものの多くを教師の役割として取り組んでいました。その当時は多くの学校が似たような状況であったと認識しています。このようにこの通達が出された当時はすぐには広がっていなかったのですが、それが時と経て、少しずつ広がっていった印象です。新型コロナウイルスの流行による学校のあり方が見直されたこと、教員志望者の減少(教員採用試験の倍率の低下)などが影響を与えていると私は感じています。マスコミで取り上げられたことも大きかったです。

適切な情報の提供が大切

 こういったことに関して学校での良い取組みだと感じたものが、学校のホームページに文科省の通達を載せるものです。保護者の多くは登下校指導に関して自分たちが主体者であるとは思ってはいません。そういった認識の違いを正していくためには適切な情報の提供が大切です。学校のホームページに載せることもそうですし、保護者が集まる場所(入学時の説明会、懇談会、PTA総会など)において説明したり、年度当初の学校便りなどに載せたりしていくことも良いでしょう。

 学校(教員)は、伝えるべきことは積極的に伝えていくことが必要でしょう。通学路指導が良い例なのですが、親の認識が違っていることをきっかけとするトラブルは他にも色々とあると思われます。どこまでが学校の役割で、どこからが家庭(保護者)の役割であるのかということを明確にしていくことで、お互い(学校も家庭も)にやりやすくなるのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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