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【相談対応Q&A】通学路にスクールガードを増やしてほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第209回のテーマは「登下校時の安全に不安があるのでスクールガードを増やしてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第209回のテーマは「登下校時の安全に不安があるのでスクールガードを増やしてほしい」。

学校や家庭はどこまで責任を持つのか

 北九州市で中学生が刺され、死傷するという事件が起こりました。数日間、犯人が捕まらない状況でした。犯人が捕まるまでの間、地域住民は不安な気持ちを抱えている様子がニュースでも流れていました。12月19日に犯人が捕まり、ひとまずは安心なのですが、子供の通学の安全について多くの人が注目することとなりました。

 犯人が捕まらない状況において、北九州市は「子供の安全を見守るために市職員約1,000人を防犯パトロールに当たらせる」と発表しました。この対応に関して、私は何かすっきりとしない印象があります。首長の判断での実施と思われます。緊急対応とは言え、基本的には丸腰の市職員が見回りをすることにはいくつかの問題があります。相手は人を殺し、刃物を持ち、逃亡中の人です。もし遭遇した際に、市の職員が対処できるとは思えません。第二の被害者が出るリスクもあります。

 この件は、教員の「タダ働き」の話と似ていると感じています。市としては、役所の人であれば、割と自由に、かつ安価に動かすことができます。この状況であれば、緊急で取り組むこととしては「専門の訓練を受けた警備員を数百人確保し、パトロールをする」「通学は車なども使い、安全な方法で行うべくアナウンスをする」「車での登下校がスムーズにできるよう学校に指示をする」などが行政のすべき対応でしょう。

 こういった際に改めて考えたいことが、学校や家庭はどこまで責任を持つのかということです。前回のこのコーナーでも話題にしたことです。今回の「通学」に関しては、基本的には保護者に責任があります。このことをきちんと確認をする必要があります。保護者が通学に関して学校に責任があると思っていれば、いろいろな誤解が生じます。たとえば「子供が安全に通学するために学校(先生)がもっといろいろなことをやってほしい」「なんで学校の先生は、通学路に立って子供の安全確保をしないのか」などです。そうではなく、子供が安全に通学するために親は何をすべきかを考える必要があるのです。今回のような緊急で特別な状況ではなおさら親はしっかりと考える必要が出てきます。

社会全体で子供の安全を守っていく

 今回のテーマである「スクールガード」は子供の登下校の安全を見守るボランティアのことです。「学校安全ボランティア」という呼び方をすることもあります。北九州市の事件のような特別な状況ではなく、平時に活動しています。地域の方などが、朝や帰りに通学路に立ち、子供を見守ることをしています。市区町村の教育委員会が窓口になり対応しています。学校に「スクールガードを増やしてほしい」と保護者から相談があったら、話を受けると共に、担当である行政(教育委員会)にも相談してほしいと伝えると良いでしょう。

 子供の通学に関しては、基本的には保護者が責任を持ちつつ、地域の環境(モノや人)を整えるのは自治体の役割であり、交通安全や治安の維持などは警察の役割となります。学校の役割は、登下校の際の交通安全のルールを整えること、警察や保護者と連携することと法律(学校保健安全法)で定められています。このように役割分担をしながら、学校だけでなく、社会全体で子供の安全を守っていくことができる状況が望ましいのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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