中央教育審議会は2025年2月21日、将来社会を見据えた今後の高等教育の在り方についての答申「我が国の『知の総和』向上の未来像」を阿部俊子文部科学大臣に手交した。教育研究の質の高度化、規模の適正化、アクセス確保の観点から、高等教育の制度改正等の方向性がまとめられた。
急速な少子化が進む中、大学進学者数は2021年62.7万人から2035年59.0万人、2040年には46.0万人へと約27%減ると推計される。大学分科会では、永田分科会長のもと高等教育が目指す姿として「知の総和」の向上を掲げ、1年5か月にわたり審議。制度改正等の方向性をとりまとめ2月21日、中央教育審議会総会において答申した。
目指す未来像の実現のためには「知の総和」(数×能力)を向上することが必須とし、教育研究の質を上げ、意欲あるすべての人が高等教育を享受できるよう社会的に適切な規模の高等教育機会を供給するとともに、地理的・社会経済的な観点からのアクセス確保によって高等教育の機会均等の実現を図ることが必要としている。
そのため高等教育機関の規模については、厳格な設置認可審査への転換および意欲的な教育・経営改革への支援を実施し、新たな評価制度において教育の質を評価。一時的な定員減の仕組みの構築や、経営指導の基準となる指標の見直し、設置後一度も定員充足率が一定の割合に満たない場合など設置計画不履行に対する措置なども盛り込んでいる。
また、教育研究の質の高度化に向けた具体的方策には、厳格な成績評価や卒業認定など「出口における質保証」といった学修者本位の教育の推進や、多様な学生の受入れ促進、高等教育機関の情報を横断的に比較できる新たなデータプラットフォーム「Univ-map(ユニマップ)」(仮称)の構築などを提言した。
手交にあたり永田分科会長はこの10年が勝負であるとし、「文部科学省においては政策パッケージの推進とともにフォローアップもしっかりしていただき、厳しい課題に対応していってもらいたい」と述べている。今後、文部科学省では必要な制度改正を含めた関連施策の推進に向けて検討を行う。