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大学撤退を支援、設置認可の厳格化…中教審特別部会が答申案

 中央教育審議会の高等教育の在り方に関する特別部会は2024年12月4日、「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」と題した答申案を公表した。高等教育政策の目的に「質」「規模」「アクセス」を掲げ、大学の再編・統合や縮小・撤退への支援、設置認可の厳格化なども盛り込んでいる。

教育行政 文部科学省
急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(答申案)要旨
  • 急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(答申案)要旨
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 中央教育審議会の高等教育の在り方に関する特別部会は2024年12月4日、「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」と題した答申案を公表した。高等教育政策の目的に「質」「規模」「アクセス」を掲げ、大学の再編・統合や縮小・撤退への支援、設置認可の厳格化なども盛り込んでいる。

 高等教育の在り方に関する特別部会は、急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育のあり方について専門的な調査審議を行うために設置。2023年11月から議論を重ねている。

 答申案には、18歳人口が1966年をピークに減少を続け、現在約63万人いる大学進学者数が2040年には約17万人減の約46万人となり、現在の定員規模の約73%へ大幅に減少するとの予測を掲載。育成する人材像に「AIを使いこなせる資質・能力をもち、人々と協働し、課題を発見し解決に導く人材」、日本の高等教育が目指す姿には「わが国の『知の総和』を維持・向上させること」を掲げた。

 今後の高等教育政策を実施するうえでの政策目的(追求すべき価値)には、「質」「規模」「アクセス」を設定。急速な少子化等を踏まえた高等教育全体の「規模」の適正化を図りつつ、それによって失われる恐れのある「アクセス」確保策を講じるとともに、「規模」の縮小をカバーし、知の総和を維持・向上するために教育研究の「質」を高めることが必要だとした。

 「質」については、「出口における質保証」の観点から、学生に対する厳格な成績評価や卒業認定を実施することが必要とし、成績が不十分な学生には進級・卒業を認めないこと、成績優秀者に対する表彰制度を設けることなども求められるとした。大学院教育の改革として、学士・修士5年一貫教育の大幅拡充なども示した。

 「規模」に関しては、「再編・統合や縮小、撤退を支援することが必要」と明記。新たな大学・学部等の設置認可には、「これまで以上に、教学面においては質の高さや社会的な必要性を求め、経営面においては財産保有要件や私学助成交付要件の厳格化を図るなど、抜本的な見直しを図る」とした。

 「アクセス」は、地理的観点と社会経済的観点から、地域大学等構想推進プラットフォーム(仮称)の構築、地域大学等連携推進機構(仮称)の導入、個人への経済的支援の充実などを求めている。

 大学や高専など「機関別」、国公私立の「設置者別」の役割も整理。具体的方策として、国立大学には定員規模の適正化や再編・統合の推進に向けた検討、私立大学には規模適正化の推進(設置認可厳格化、再編・統合、縮小、撤退の支援)などをあげた。

 今後取るべき方策では、答申後2~3年程度までに実施すべき「短期的取組」に公財政支援の充実、社会からの支援強化、個人・保護者負担の見直し、答申後5~10年程度で改革を進める必要がある「中長期的取組」には教育コストの明確化と負担の仕組みの見直し、高等教育への大胆な投資を進めるための新たな財源の確保を列挙。国に対して、今後10年程度の工程を示した政策パッケージを策定し、具体的方策の実行に速やかに着手するよう求めている。

《奥山直美》

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