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学習指導要領改訂・教師不足問題…文科相1/14会見

 2025年1月14日、あべ文部科学大臣は記者会見を行い、東京女子医科大学の元理事長が進行中の建設工事を巡り不正に1億円の報酬を支払わせ、大学に損害を与えたとして逮捕された件について言及した。あべ大臣は、公共性の高い学校法人で理事長職にあった者が逮捕されたことを「極めて遺憾」とし、法人に対しては2024年12月にまとめた改善計画の実行を求めるとともに、捜査の進展により事実関係が明確になれば、元理事長に対するさらなる責任追及について適切に対応する必要があると述べた。

教育行政 文部科学省
あべ俊子文部科学大臣記者会見録(2025年1月14日)
  • あべ俊子文部科学大臣記者会見録(2025年1月14日)

 2025年1月14日、あべ文部科学大臣は記者会見を行い、東京女子医科大学の元理事長が進行中の建設工事を巡り不正に1億円の報酬を支払わせ、大学に損害を与えたとして逮捕された件について言及した。あべ大臣は、公共性の高い学校法人で理事長職にあった者が逮捕されたことを「極めて遺憾」とし、法人に対しては2024年12月にまとめた改善計画の実行を求めるとともに、捜査の進展により事実関係が明確になれば、元理事長に対するさらなる責任追及について適切に対応する必要があると述べた。

 この事件を受け、文部科学省は状況を確認し、必要に応じて指導助言を行う方針を示した。また、私立大学の経常費補助金については、学校運営に関わる刑事事件により役員等が逮捕・起訴される場合、減額または不交付とすることができるとしており、東京女子医科大学に対しては本年度の補助金交付を保留している。1月下旬に日本私立大学振興共済事業団において交付の取り扱いについて判断が行われる予定である。

 一方、学習指導要領の改訂に向けた取組みについても言及があった。あべ大臣は、現行の学習指導要領の下で日本の学校教育が教師の努力と熱意に支えられ、大きな成果を上げている一方で、不登校児童生徒の増加や、知識の実社会への適用が苦手な子供たちがいること、ICTの効果的な活用やデジタル人材の育成強化などの課題が明らかになっていると指摘した。

 これらの課題に対処するため、教師の努力と熱意に過度に依存することなく、教育課程の実施に伴う負担の指摘にも真摯に向き合う必要があると述べた。特に、質の高い深い学びを実現するため、わかりやすく使いやすい学習指導要領のあり方、多様な子供たちを包容する柔軟な教育課程のあり方、情報活用能力の根本的な強化を始めとする各教科の目標内容のあり方、教育課程の実施に伴う負担が生じにくいあり方などの論点について検討を進めるとした。

 さらに、教師不足問題についても触れ、文部科学省としては教師不足の現状を深刻に認識しており、各教育委員会に対して計画的な新規採用に取り組むとともに、現職以外の教職教員免許保有者向けの研修を実施するなど、教師人材の確保を強化する取組みを促していると述べた。教職員定数の改善や教職調整額の引き上げなどを含め、学校の指導運営体制の充実、教師の処遇改善、学校における働き方改革のさらなる加速化と教師の育成支援を一体的に進めていく方針を示した。

 また、福井県の高速増殖炉「もんじゅ」を視察する予定であることを明らかにし、新試験研究炉の建設については、原子力研究開発人材育成基盤の強化にとって重要であると述べた。しかし、2024年10月に国土地理院が公表したもんじゅ敷地内の推定活断層を踏まえ、安全確保を最優先とし、さらなる検討調査が必要と判断したため、建設予定地の公表を延期したと説明した。今後も地元とのていねいな対話を行いながら、原子力機構において着実な取組みが進められるよう支援していくと述べた。

 今回の会見では、教育現場が直面するさまざまな課題に対する文部科学省の取組みが示された。特に、教育の質向上や教師不足問題への対応が重要なテーマとして浮上しており、今後の動向が注目される。

《神林七巳》

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