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情報モラル授業で小中学生の意識が変化…成功の鍵は教員

 LINEみらい財団は、小中学校でGIGAスクール端末を用いた情報モラル教育の効果を測定する調査を実施し2024年6月20日、その結果をまとめた調査報告書を公開した。授業後は児童生徒にポジティブな変化がみられたが、成功の鍵を握るのは教員の役割にあるという。

教材・サービス 授業
チャット・SNSで嫌だなと思ったときの対象方法知っている(小学生4~6年生全体)
  • チャット・SNSで嫌だなと思ったときの対象方法知っている(小学生4~6年生全体)
  • チャット・SNSで嫌だなと感じたときの対処方法を知っている(私物端末所有有無別)
  • チャット・SNSで嫌だなと感じたときの対処方法を知っている(学年別)
  • ネットトラブルに対応できる(中学生1~3年生全体)
  • チャット・SNSと対面を使い分ける方法を知っている(小学生4~6年生全体)
  • 端末を使った効果的な学習方法を理解している(中学生1~3年生全体)
  • 情報モラルの授業による児童・生徒の意識変化調査報告書(考察・提言)

 LINEみらい財団は、小中学校でGIGAスクール端末を用いた情報モラル教育の効果を測定する調査を実施し2024年6月20日、その結果をまとめた調査報告書を公開した。授業後は児童生徒にポジティブな変化がみられたが、成功の鍵を握るのは教員の役割にあるという。

 GIGAスクール構想を契機に、学校での学びでネット活用が進む中、LINEみらい財団では、静岡大学教育学部 准教授 塩田真吾氏の監修のもと独自開発した活用型情報モラル教材「GIGAワークブック」を使用した授業を実施。2023年12月14日~2024年3月11日の期間、小学校9校の4~6年生590名と中学校7校の1~3年生491名を対象に、授業前後の意識変化の効果測定データを取得・分析した。

 教材は「GIGAワークブック」の中から、小学生はSNS・チャットやコミュニケーションに関する内容、中学生はセルフマネジメントや端末の使い過ぎに関する内容の授業を選定して実施。調査では小学生、中学生それぞれの授業内容に即した「情報活用」「情報モラル」に関する7項目について、授業前と授業後で同じ質問をした。

 その結果、授業前後で小学生のSNSトラブルに関する理解度は、全体で21.2%上昇。「私物端未を所有しない児童」では28.7%上昇し、私物端末の有無に関わらず情報モラル授業の効果が確認できた。また、中学生では「ネットのトラブルに対応できる」と回答した生徒が、授業後に28.5%増加した。

 チャット・SNSと対面を使い分ける方法の理解は、小学生全体で35.3%上昇。中学生は、端末を使った効果的な学習方法の理解が15.2%上昇した。また、授業後に「ネットのトラブルは自分にも起こるかもしれない」と思った小学生は83.1%にのぼり、ネットトラブルの「自分ごと化」にも効果があった。授業で学習した内容は、小学生の約70%、中学生の60%が家庭に共有する意向があることもわかった。

 授業はすべてオンライン講演で行われたが、オンライン授業においても、統計的に有意な差が確認でき、ポジティブな変化がみられた。しかし、ワークブックを用いれば児童・生徒の変容が見込まれるものではなく、指導者(教師)自身の役割や価値観を構成主義的に変えていくことが必要になるという。

 今回の授業では、教師は児童・生徒に疑問を持たせたり、自律的に学習できるように働きかけたり、必要に応じて助言や援助を行ったりする役割を担い「構成主義的な授業」を実施。児童・生徒の伴走者となるような立ち位置で教材を用いることが、これからの教育現場での成功の鍵となり得ることが示唆された。

 調査報告書は全76ページ。LINEみらい財団のWebサイトからPDFデータとしてダウンロードできる。

〔お詫びと訂正〕初出時、教材監修者の名前に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

《川端珠紀》

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