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国際卓越研究大学、東北大を第1号に正式認定へ

 文部科学省の有識者会議は2024年6月14日、大学ファンドを通じて世界最高水準の研究大学を目指す「国際卓越研究大学」として、東北大学が認定基準を満たしたと発表した。今後、正式認定を経て、第1号の認定校として2024年度中に助成開始となる見通し。

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東北大学の体制強化計画の全体像
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  • 次回公募への期待

 文部科学省の有識者会議は2024年6月14日、大学ファンドを通じて世界最高水準の研究大学を目指す「国際卓越研究大学」として、東北大学が認定基準を満たしたと発表した。今後、正式認定を経て、第1号の認定校として2024年度中に助成開始となる見通し。

 「国際卓越研究大学」は、世界トップレベルの研究などが見込まれる大学を認定し、政府が創設した10兆円規模の大学ファンドを活用して支援する新制度。初回公募で申請のあった10校から、東京大学・京都大学・東北大学の3校に候補を絞ったうえで、一定の条件を満たした場合に認定するという留保を付して、2023年8月30日に東北大学を認定候補に選んだ。

 国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード)は、東北大学に付した留保の条件への対応を継続的に確認。審査の結果、留保条件のいずれの項目でも計画の精査や具体化が図られており、国際卓越研究大学認定と体制強化計画認可の水準を満たし得るとの結論に至り、6月14日に審査結果を公表した。

 アドバイザリーボードが留保条件として東北大学に示していた意見は「人文・社会科学系も含めた全学の研究力向上の道筋」「全方位の国際化」「活力ある新たな研究体制の確立」「大学院変革・研究大学にふさわしい学部変革」「財務戦略の高度化、産学共創による収益の拡大方策」「体制強化計画の実施が継続されるガバナンス体制の構築」の6項目。

 東北大学は、この6項目について、意見を踏まえて具体的な検討を進め、「人文社会科学を中心とした価値創造戦略」「国際卓越人事トラックを活用した新たな教員人事マネジメント」などを盛り込んだ体制強化計画へ改訂。アドバイザリーボードは、2月と5月の2回に分けて東北大学から検討状況を聴取したうえで審議を行った。

 今後、東北大学では改正国立大学法人法に基づく運営方針会議を設置予定。その後、国際卓越研究大学法に基づき、総合科学技術・イノベーション会議と科学技術・学術審議会の意見を聴き、文部科学大臣が東北大学の認定と体制強化計画の認可の判断を行う。2024年度中に助成が開始され、初年度は100億円程度の助成が見込まれている。体制強化計画の期間は、第I期(10年)、第II期(8年)、第III期(7年)の最長25年間。

 審査結果の公表を受けて、東北大学の冨永悌二総長は「社会の負託に応え日本を牽引する研究大学として、最終的な認定に向け、全学一丸となって引き続き取り組んで参ります」とコメントしている。

 第2期公募は、大学ファンドの運用状況などを勘案し、初回の国際卓越研究大学の認定後、2024年度中に開始予定。アドバイザリーボードが公表した審査結果では、次回公募への期待なども述べられている。

《奥山直美》

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