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文科省、NHK報道の教員「定額働かせ放題」に遺憾

 文部科学省は、2024年5月13日に日本放送協会(NHK)が放送した「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」に関する報道の中で、教員の給与体系を「定額働かせ放題」と誤解を招くような表現で報じたことに対し、遺憾の意を表明。多面的に、公平かつ公正に報道するよう求めた。

教育行政 文部科学省
「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)
  • 「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)
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 文部科学省は、2024年5月13日に日本放送協会(NHK)が放送した「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」に関する報道の中で、教員の給与体系を「定額働かせ放題」と誤解を招くような表現で報じたことに対し、遺憾の意を表明。多面的に、公平かつ公正に報道するよう求めた。

 文部科学省は、社会全体や学びのあり方が大きく変革する中、すべての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するべく、2021年度より「令和の日本型学校教育」の構築に向けた議論を開始。あわせて、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師を確保するための環境整備についても話し合いを続けてきた。

 今回、5月13日に「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について、審議のまとめを公表。教師を取り巻く環境の抜本的な改革が必要としたうえで、教師の担うべき業務の適正化や働き方改革の実効性の向上、教師の健康・福祉の確保に向けた取組みの充実、教職員定数の改善と配置のあり方の改善など、総合的に教職員を取り巻く環境をより良いものへと改善し、学校教育の質向上を通して、すべての子供たちへのより良い教育の実現を図る方策を示した。

 第5章では、教師の処遇改善について明記。現状わずかとなっていた一般行政職に比べた優遇分の水準以上を確保するべく、教職調整額の率を少なくとも10%以上確保することや、学級担任への特別手当の増額、管理職手当等の改善の必要性を示した。教師の時間外勤務については、日々子供たちへの臨機応変な対応が必要となる職種柄、業務の範囲や実行する程度を教師自身の自発性・裁量性に委ねる部分が大きいという職務の特殊性を踏まえ、「勤務時間の内外を包括的に評価し、教職調整額を支給する仕組みは、現在においても合理性を有する」との審議の結果を示している。

 この審議まとめについて、NHKは5月13日の放送で取り上げ、冒頭「定額働かせ放題、どれだけ残業しても一定の上乗せ分しか支払われない教員の給与の枠組みはこのように呼ばれています」としたうえで、「定額働かせ放題ともいわれる枠組み自体は残ることになります」と報じたという。

 文部科学省はこの報道に関して、遺憾の意を表明。なぜこのような制度になっているのか、現行の仕組みや経緯、背景について触れることなく、一部で用いられている「定額働かせ放題の枠組み」と一面的に、教育界で定着しているかのように誤解を与えるような表現で報じたとして異を唱えた。

 中央教育審議会「審議のまとめ」がさまざまな議論を経て取りまとめられたにもかかわらず、今回、なぜ教職調整額の仕組みを維持するという結論に至ったかには触れることのない一面的なものでもあったとして、Webサイトに掲載した文書では「今回の報道は大変遺憾」とした。報道にあたり、国民の正確な理解につながるよう、丁寧な取材に基づき、多面的に、公平かつ公正に取り扱う報道をするように求めている。

《畑山望》

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