文部科学省は2024年5月9日、教職大学院を修了した正規教員らの奨学金返還を免除することについて、教育委員会などに通知した。2025年度(令和7年度)から教師となった者が対象。返還免除の運用基準などをまとめており、周知や対応を求めている。
中央教育審議会「初等中等教育分科会教員養成部会」が3月19日、優れた教師人材の確保に向けた奨学金の返還支援のあり方について議論のまとめを公表。教職の高度化につなげる「質の向上の観点」と、教師志願者の拡大につなげる「量的な観点」から、教職大学院を修了して教師となった者を中心に奨学金返還免除を実施すべきとの考えを示した。
5月9日付で全国の教育委員会や国公私立大学に出した通知では、議論のまとめを受け、2025年度から教師となった者を対象に奨学金の返還免除を実施すると説明。対象者や申請手続きなど、具体的な運用基準を整理している。
対象者は、教職大学院に在籍し、教員採用選考などに合格、教職大学院修了の翌年度から正規教員として採用される予定の者で、翌年度4月1日時点に正規教員として在籍していることを確認できた者。教職大学院以外の大学院(修士課程、博士前期課程、専門職学位課程)に在籍している者は、実習の実時間をおおむね30時間以上確保しているなどの要件を満たす必要がある。教員採用選考は、公立学校だけでなく、国・私立学校などの採用を含む。
返還免除の対象となる奨学金は、大学院在籍時に貸与を受けた日本学生支援機構の第一種奨学金(授業料後払い制度の奨学金も含む)。要件を満たした対象者は全員、全額免除となる。ただし、大学学部在籍時に貸与を受けた奨学金などは返還免除の対象にはならない。
返還免除は、大学院生を対象とした日本学生支援機構の「特に優れた業績による返還免除制度」により実施するため、通常の手続きと異なり、同制度の申請手続きに則る。12月ごろには、日本学生支援機構から各大学に対し、返還免除候補者の推薦依頼通知を発出予定。具体的な推薦方法などの詳細は、決まり次第、日本学生支援機構から知らせるとしている。