文部科学省は2023年9月8日、2021年度(令和3年度)の大学における教育内容等の改革状況について公表した。学部段階でカリキュラム編成にナンバリングを実施している大学は、2017年度360大学から2021年度539大学と増加し、7割を超える大学で実施が進んでいることがわかった。
大学における教育内容等の改革状況調査は、大学の教育内容・方法に関する改善などの改革状況を定期的に調査し国民へ情報提供することで、各大学のより積極的な教育内容などの改善に関する取組みを促すもの。2021年度は国公私立793大学のうち、775大学が回答。そのうち学部段階の母数は、国立82大学・公立91大学・私立579大学の計752大学。
調査の結果、近年各大学の取組みにより、全国的にはまだ普及していないが進展があった事項は、カリキュラム編成上の工夫が1項目、成績評価基準の明示が1項目、教員の業績評価が1項目。
カリキュラム編成上の工夫としては、学部段階において、カリキュラムの体系性を示すために各授業科目に意味付けされた番号を付与する「ナンバリング」を実施している大学数が、2017年度の360大学(48%)から2021年度は539大学(72%)まで増加した。
学部段階における成績評価基準の明示については、一部の科目を「ルーブリック」により明示している大学数が、2017年度の159大学(21%)から2021年度は242大学(32%)に増加した。
ルーブリックとは、評価水準である「尺度」と尺度を満たした場合の「特徴の記述」で構成される学修評価基準の作成方法。ペーパーテストの評価だけでは困難な、パフォーマンスなどの定性的な評価や質的評価、直接評価に向くとされ、ペーパーテストに代わる新たな評価方法として、またアクティブラーニングなどの評価方法として導入する大学が増えている。
教員の業績評価として「ティーチング・ポートフォリオ」を導入している大学数は、2017年度の199大学(26%)から2021年度は297大学(38%)に増加。大学においては、ティーチング・ポートフォリオの導入により、将来の授業の向上と改善、証拠の提示による教育活動の正当な評価、優れた熱心な指導の共有、といった効果が期待される。
文部科学省のWebサイトでは、さらに詳細な調査項目について結果を掲載している。