科学技術振興機構(JST)は2023年7月7日、政府が設置した10兆円規模の「大学ファンド」の2022年度業務概況書を公表した。2022年度末の運用資産額は9兆9,644億円。2022年度の収益額は604億円の赤字で、元本比マイナス0.6%となった。
大学ファンドは、国際卓越研究大学に認定された大学や全国の博士課程の学生に対し、長期的・安定的な支援を行うための財源を確保することが目的。JSTに設置し、2022年3月に稼働を開始した。
2022年度業務概況書によると、2022年度末の運用資産額は9兆9,644億円。2022年度の収益額は604億円の赤字で、元本比マイナス0.6%。損益計算書上の当期総利益はプラス742億円、保有資産の時価評価による評価差額はマイナス1,259億円。収益率(時間加重収益率)はマイナス2.2%。
ロシアによるウクライナ侵攻、米欧のインフレや中央銀行による金融引締めなどが市場環境に影響し、厳しい船出となった。
2022年度末時点の資産構成割合は、グローバル債券54.6%(5兆4,445億円)、グローバル株式17.2%(1兆7,101億円)、オルタナティブ0.6%(643億円)、預金などの短期資産27.6%(2兆7,455億円)。JSTでは、グローバル債券や短期資産の比率が高い構成になっているのは、リスクを低めにコントロールしたためと説明している。
大学ファンドでは、2026年度末までの可能な限り早い段階で3,000億円の運用益を達成することを目指している。
国際卓越研究大学は、10校から申請を受け付けた後、候補を東京大学・京都大学・東北大学の3校に絞り込み、秋をめどに認定校を決定するとされている。助成は2024年度から開始予定。