内田洋行は2023年6月1日、教育用コンテンツ配信サービス「EduMall(エデュモール)」にて子供たちの指導に役立てるためのアセスメントツール「たつじんテスト」の配信を開始した。学習のどの分野につまずきが生じているのかを数値化できるという。
小学校の教育現場では、算数の学習で四則演算の単純な問題では正しい答えを回答するのに、文章問題になると計算が解けなくなる児童生徒に対して、従来のテストでは「計算ができない」という評価がされてきた。しかし、実際は前提となる「読解力」や「知識」に原因があり、そのような原因を理解し、指導につなげることが重要視されている。
慶應義塾大学環境情報学部の今井むつみ教授と広島県教育委員会は、「広島県学びの基盤に関する調査」(2018年)の一環として、「たつじんテスト」を共同開発。子供たちが問題を解けなかった思考過程を重視し、学びのつまずきの根本的な原因を探り、その結果をひとりひとりの子供たちの指導に役立てるためのアセスメントツールとなっている。
内田洋行は、2013年から今井教授とともに実際の学びの中で知見を生かせるための活動を支援してきたことから、教育用コンテンツ配信サービス「EduMall」を使い、「たつじんテスト」の提供を開始。「たつじんテスト」は、つまずきの部分を具体的に理解するための解説動画や、先生がアセスメントテストを実施しやすい進め方や解答類型、集計表などを収録し、実際の教育現場での指導場面で使用しやすいパッケージとなっている。
おもな内容は、学習のつまずきの要因である7つの原因と5つのカテゴリの中で、どの分野につまずきが生じているのかを明らかにする。「ことばのたつじん」と「かず・かんがえるたつじん」のテーマで全120問のアセスメントテスト問題を収載。児童生徒のつまずきの解答工程を確認する必要があるため、EduMallから紙で印刷し、配布してテストを実施する。たつじんテストの全体概要から個々のテストの解説まで全10動画や、対象学年、実施のタイミング、テスト実施時間、実施回数をまとめた実施要領も収録している。
そのほか、採点支援ツールとして正答ではないが似た言葉のカテゴリや一概に間違いではない回答について、先生が採点をしやすい「解答類型」や、今井教授の紹介動画による各問題の考え方、解答例からのつまずきの概要を詳細に解説している。子供たちのつまずきの分析を支援する「集計表」(Excel形式)も収録。各問題の採点結果を集計表に入力することで、たつじんテストの細分化されたカテゴリごとの採点値が記録され、子供のつまずきがどのカテゴリに属し、どの重さに該当するかなどを数値でみることができる。
対象は小学校で、2024年度に500校への販売拡大を目指している。学校ライセンス代は年間1校で1万2,000円(税別)。対応OSはWindows/ChromeOS/iPadOS。「たつじんテスト」は、特に小学校低学年の早い段階で支援することで、学習への苦手意識の解消に効果が期待できるという。詳細はWebサイトで確認できる。
EduMall(エデュモール)は、内田洋行にて商用化したコンテンツ配信サービス。35社から提供されるデジタル教科書やドリル、プリント教材などの約1,400タイトルの中から、学校の要望に応じて選び、年間契約にて効率的に利用できるクラウドサービスで、教材の利用履歴の参照も可能。さらに、授業や学習ですぐに使える無償コンテンツ多数用意している。