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【相談対応Q&A】放課後に補習してほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第132回のテーマは「授業が理解できないので、補習をしてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第132回のテーマは「授業が理解できないので、補習をしてほしい」。

日本の教員は「教える」以外の仕事が多い

 国会を含め、さまざまな場で教員の働き方が議論されています。諸外国の学校の状況と比較すると、日本が教員は「教える」ということ以外の仕事が多いという報告がされています。教員の仕事の中でも、やはりもっとも重要なものは「子供の学習」です。ただ残念ながら、現在の日本の学校は、その「子供の学習」を大事にできないような状況となってしまっています。そういったことと関連し、今回のテーマは「授業が理解できないので、補習をしてほしい」です。

 先ほども書いたように現在の日本の教員は世界的に見て多忙です。教員の多くは、授業における学習内容の理解が十分でない子供がいた場合、補習やその他の個別対応などを行い、フォローをしていきたいと思っているはずです。しかし、残念ながら、そういったことをしていきにくいのが現在の日本の学校の現状です。

 たとえば、学校の多忙化により、子供が帰った後の時間には各種の予定(会議、研修など)が組み込まれていることがほとんどです。その時間に特定の子供だけを残して補習をするということは時間的に難しいでしょう。

 また、地域にもよりますが、小学校では下校が一斉に行われている場合が多いです。不審者が出る事件が起こったことなどと関連し、下校の際、学年で同じタイミングで下校し、同じ方向の子供はなるべく一緒に帰っていくというやり方です。そういったやり方のメリット(安全性の確保など)はあるのですが、逆の面(デメリット)もあります。今回のテーマにある「子供を学校に残して何かに取り組む」ということは取り組みにくくなります。

GIGA端末を活用

 このような状況においては、GIGA端末を効果的に使うことで、状況の改善が見られる場合があります。GIGAスクール構想により配布されたタブレット/PCは、子供の個別最適な学びに適しています。これまで一般的に使われていた紙のドリル(問題集)と比べ、得意な子供、苦手な子供、それぞれの子供の状況に合わせた取組みが行いやすいです。

 親から「補習をしてほしい」という相談をもらった場合、GIGA端末を上手に活用した宿題などを出す形で対応していくのは良いやり方でしょう。オンラインのアプリでは、苦手な子供に対応しているものもたくさんあります。また、通常の紙のドリルなどでは、「〇年生用」などと指定され、プリントされていることが多いです。

 たとえば、勉強が苦手な小学校4年生の子供がいた場合、3年生や2年生のドリルに取り組ませるのは少し苦労します。周りの子供の目を気にしてしまう場合があるからです。変なプライドのようなものが、その子供の学びの阻害要因となってしまいます。その点、アプリではそういった学年の垣根のようなものが明確になっていないものもあり、苦手な子供が下の学年の問題に戻って取り組むことがしやすいです。苦手な子供を引きつけるような工夫がされているアプリも多いです。そういったものを適切に活用していくことで、子供の苦手な部分の改善を目指していくと良いでしょう。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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