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大日本図書、中学校教科書「不合格」処分を公表

 大日本図書は2023年3月30日、中学校用教科書の検定審査を不合格とする文部科学省の処分について、Webサイトに掲載した。文部科学省は、教科書採択の公正確保の徹底に万全を期すよう、3月31日付で全国の教育委員会や各教科書発行者に通知を発出した。

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 大日本図書は2023年3月30日、中学校用教科書の検定審査を不合格とする文部科学省の処分について、Webサイトに掲載した。文部科学省は、大日本図書による教科書汚職事件を受け、教科書採択の公正確保の徹底に万全を期すよう、3月31日付で全国の教育委員会や各教科書発行者に通知を発出した。

 教科書を発行する大日本図書は、採択関係者に飲食を無償提供する等、不当な利益供与を行い贈賄罪が確定している。この事案を受け、文部科学省は教科用図書検定規則に基づき、2023年度(令和5年度)の中学校用教科書検定において、大日本図書が発行する数学、理科、保健体育の3教科を不合格とし、処分方針を同社に通知した。

 大日本図書では、3月28日付で文部科学省から今回の処分で通知を受けたことをWebサイトで公表。中学校教科書について、2025年度(令和7年度)の発行に向けて編集作業を進めていたが、処分を受けて検定申請を断念すると説明。「このたびの処分を厳粛に受け止め、新しい取締役体制のもと社内の抜本的な改革を進めてまいります。また、役員、社員一丸となって再発防止策を徹底し、採択の公正性・透明性の確保につとめ、教科書発行者としての信頼回復に全力で取り組んでまいります」としている。

 なお、現在発行している中学校の教科書は、2023年度以降も引き続き発行。改訂が行われる2024年度(令和6年度)版小学校教科書については、検定に合格したため、2024度以降は新版教科書を発行すると説明している。

 文部科学省の永岡桂子大臣は、3月31日の会見で「教科書採択の公正性透明性に疑念を生じさせ、教科書に対する信頼を大きく揺るがす事態に至ったことについては極めて遺憾」と発言。3月31日付で、教育委員会や各教科書発行者に対して、教科書採択の公正性確保に関する通知を発出し、今回の事案を踏まえ、不当な利益供与が二度とないよう公正確保の徹底に万全を期すよう強く求めている。

 大日本図書への処分に対して、永岡大臣は「新しい教科書の発行を4年間不可能とする極めて大変重い処分。制度に基づく厳正な対応を検討した結果であり、発行者は重く受け止めていただきたい」と述べた。

《奥山直美》

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