ネクストビートは2023年3月16日、保育施設向けの業務支援システム「保育士バンク!コネクト」の労務管理データから職員の労務データを抽出・統計化し、保育士の働き方に関する調査結果をまとめ概要を公表した。平均労働時間は月160時間が全体の35.8%となった。
調査は、「保育士バンク!コネクト」を一定期間継続して利用している約6,000人の保育士等の保育園・幼稚園等に勤務する職員の労務データを抽出・統計化。2022年10~12月の3か月間の職員の平均労働時間は、159.6時間にのぼる。
保育施設で働く職員の平均労働時間・残業時間については、平均労働時間別の人数分布を見ると、月160時間が全体の35.8%を占める。残業時間は残業なしの職員が過半数を占めているのに対し、月30~50時間を超える職員も一定数存在していることが明らかになった。
また、施設形態別の平均労働時間については、全体平均の160時間とそこまで大きな差がない。一方で、院内保育室や乳児院、障害児施設等の一部24時間の勤務体制を行っている施設では、平均よりもやや勤務時間は長いという結果を得た。役職別の平均労働時間については、管理職の勤務時間が一般(管理職以外)より長いことが明らかになった。
保育施設で働く職員の有給取得状況については、平均の有給消化率は66.8%にのぼる。取得率別の人数構成比では、100%取得している人がもっとも多く、ついで50%、40%となった。
地域別の有給取得率については、東京23区は74.6%、それ以外では60%台となっている。また、役職別の有給取得率については平均よりも低い傾向にあり、60%を下回っていることが判明した。
保育施設での悲惨な事故・事件が目立つ中、政府が掲げる「次元の異なる少子化対策」においても、保育士の配置基準や給与等の処遇改善があげられており、保育士の働き方が社会的な課題であると同社は分析している。
保育業界では、「変形労働時間制」の導入割合が80%(保育士バンク!コネクト導入園実績:園に所属する職員のうち、40%以上が変動労働時間制を用いている園の割合)と非常に高く、労務管理が複雑化し、事務作業に追われ勤務時間が長くなってしまっているケースも見受けられるという。
ネクストビートは「ICT活用によって、労務管理・登降園管理等の事務作業を簡略化し、業務効率化を実現することで、職員ひとりひとりの労働時間の削減にもつながっているのではないか」と考察している。