教育業界ニュース

保育・幼児教育市場、前年度比1.7%増の4兆6,833億円

 矢野経済研究所は2023年2月15日、保育・幼児教育市場に関する調査結果を公表した。2021年度の保育・幼児教育の市場規模は、前年度比1.7%増の4兆6,833億円。コロナ禍の影響は限定的なものにとどまり、保育園市場の堅調な推移に支えられ、微増ながら拡大を維持している。

教材・サービス その他
保育・幼児教育市場の市場規模推移
  • 保育・幼児教育市場の市場規模推移
  • 矢野経済研究所

 矢野経済研究所は2023年2月15日、保育・幼児教育市場に関する調査結果を公表した。2021年度の保育・幼児教育の市場規模は、前年度比1.7%増の4兆6,833億円。コロナ禍の影響は限定的なものにとどまり、保育園市場の堅調な推移に支えられ、微増ながら拡大を維持している。

 保育・幼児教育市場に関する調査は、保育園市場、学童保育市場、ベビーシッター関連サービス市場、プリスクール市場、私立幼稚園市場、幼児英才教育市場、幼児体育指導市場、幼児・子供向け外国語教室市場、幼児向け通信教育市場の9分野を対象に実施。調査期間は2022年7月~12月。

 2021年度の保育・幼児教育市場は、前年度比1.7%増の4兆6,833億円。保育園市場は、待機児童問題の解消に向けた行政からの手厚い補助や、保育ニーズの高まりによる利用者の増加と施設数の拡大によって成長してきたが、出生数の減少、少子化の進行、待機児童数の減少を受け、市場伸長率が鈍化。それでも、市場全体として保育園市場の堅調な推移に支えられ拡大を維持した。

 保育園市場以外の分野においては、幼児向け通信教育市場が引き続き伸長した他、幼児英才教育市場が拡大。幼児英才教育市場は「幼児受験教育市場」と「知育主体型教育市場」で構成される。「幼児受験教育市場」はコロナ禍での学力低下に対する不安や子供の将来の教育・進路に対する関心の高まり、オンラインへの移行・活用にいち早くに取り組む私立小学校の優位性がクローズアップされたこと等により、私立小学校の受験志望者が拡大。受験対策ニーズの高まりにあわせて市場が拡大した。

 「知育主体型教育市場」は、コロナ禍が継続する中でも、長期休校や一時閉鎖といった大きなマイナス影響を受けることなく教室運営や事業活動が継続できたことに加え、教室の稼働率の正常化にともない新規入会も順調に推移したことで、堅調な推移となった。

 2022年以降も引き続き、私立小学校を志望する受験層からの底堅い受験対策ニーズや、幼児期からの能力開発・知力向上に対するニーズに支えられ、少子化の影響を受けつつも幼児英才教育市場は堅調に推移していくことが予測される。

 保育・幼児教育市場は、今後も当面は堅調な推移が見込まれるが、少子化のより一層の加速により市場トレンドが転換期を迎える可能性がある。矢野経済研究所は、​その流れを踏まえ、これまでの会員数・施設数の拡大といった量的拡大による事業戦略から、ユーザーニーズや社会的ニーズを捉えた付加価値の高いサービス、量的拡大に依存しないビジネスへの方針転換が急務となると分析している。


「明日から」すぐ使える保育園の健康教育
¥2,750
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
新3法令対応 幼児教育・保育カリキュラム論
¥1,408
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《畑山望》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top