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文科省、教材撮影時の著作権について周知…GIGA端末持ち帰りに向け

 文部科学省初等中等教育局は2022年11月24日、1人1台端末で撮影した紙教材の画像データと著作権の関係を整理し、各都道府県の教育委員会等に事務連絡を出した。個人・家庭内等の限られた範囲や、授業課程で必要と認められる限度までの利用は、著作権侵害にあたらない。

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GIGAスクール構想の実現について
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 文部科学省初等中等教育局は2022年11月24日、1人1台端末で撮影した紙教材の画像データと著作権の関係を整理し、各都道府県の教育委員会等に事務連絡を出した。個人・家庭内等の限られた範囲や、授業課程で必要と認められる限度までの利用は、著作権侵害にあたらない。

 GIGAスクール構想により1人1台端末の活用が進む中、家庭学習や授業における画像データ等の著作権の取り扱いがわかりにくいといった問題があがっている。

 文部科学省初等中等教育局は、紙の教材の撮影と著作権の関係について、11月24日付けで事務連絡「1人1台端末により撮影した教材の画像データを活用した学びについて」を各都道府県の教育委員会等に発出。著作権について「私的利用」「授業目的での利用」の2項目について整理した。

 「私的利用」においては、児童生徒が、自宅等での自習・宿題等の目的で私的に使用する範囲において、ICT端末で教材の関連個所を撮影することは著作権者等の許諾がなくても可能であるとの見解を示した。なお、著作物は著作権法第30条により、個人・家庭内、その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、その使用する者が複製することができるとされている。

 「授業目的での利用」においては、授業の過程で教師が複製を求める場合は、私的に使用する目的とみなされない可能性があるが、著作権法第35条により、授業の過程における利用に供するために必要と認められる限度での利用については著作権者等の許諾がなくても可能であるとした。たとえば、教師の指示に基づき児童生徒が教材の関連個所を撮影する行為、教師が授業の過程において教材の関連個所を撮影し、クラスのクラウドにアップロードする行為(授業目的公衆送信補償金等管理協会に補償金の支払いが必要)等は、著作権者等の許諾なく使用できる。

 ただし、ドリルやワークブック等、児童生徒等が1人1点ずつ購入することを想定して販売されている教材を、その購入等の代替となるような態様でコピー・配信することは著作権者等の利益を不当に害するおそれがあり、著作権者等の許諾を得ることが求められるので留意するよう求めている。

 授業目的公衆送信補償金制度については、2018年の法改正で、ICTを活用した教育での著作物利用の円滑化を図るため、遠隔合同授業以外での公衆送信についても補償金を支払うことで無許諾で行うことが可能となっている。文部科学省によると、2021年度は小・中・高等学校の約80%が補償金支払申請を行っており、未申請の学校に対しては、1人1台端末の積極的な活用のため制度の活用を検討するよう要請した。


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《川端珠紀》

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