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日本語指導が必要な児童生徒5万8,307人、増加続く

 文部科学省は2022年10月18日、「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」の結果を発表した。日本語指導が必要な児童生徒は日本国籍1万688人・外国籍4万7,619人の計5万8,307人。年々増加の一途をたどっている。

教育行政 文部科学省
日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)
  • 日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)
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 文部科学省は2022年10月18日、「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和3年度)」の結果を発表した。日本語指導が必要な児童生徒は日本国籍1万688人・外国籍4万7,619人の計5万8,307人。年々増加の一途をたどっている。

 調査は、公立小・中・高等学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校における日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等をまとめたもの。調査期間は2021年8月4日~11月1日(原則、基準日は2021年5月1日)。調査内の「日本語指導が必要な児童生徒」とは、日本語で日常会話が十分にできない児童生徒や、日常会話ができても学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じている児童生徒を指す。この調査は1991年度(平成3年度)に開始され、2012年度(平成24年度)以降は2年ごとに定期的に調査している。

 2021年5月1日現在の日本語指導が必要な児童生徒数は、前回調査より7,181人増加し5万8,307人となった。日本国籍の児童生徒は前回調査より317人増の1万688人で、このうち海外からの帰国生は2,263人だった。なお、外国籍の児童生徒とは、地方公共団体が所管する学校に在籍している外国籍をもつ児童生徒を指し、日本との二重国籍者は日本国籍としている。

 学校において特別の配慮に基づく指導を受けている者の割合も、外国籍の児童生徒が前回調査比11.5ポイント増の91.0%、日本国籍の児童生徒が前回調査比13.7 ポイント増の88.1%といずれも増加した。また、外国籍73.4%、日本国籍67.5%の児童生徒が、在籍学級以外の教室等で行われる指導のもと、指導の目標・内容を明確にした指導計画を作成し、学習評価を実施する「特別の教育課程」による日本語指導を受けている。

 日本語指導が必要な外国籍の児童生徒を言語別にみると、ポルトガル語を母語とする者の割合が全体の約4分の1を占め最多。一方、日本国籍の児童生徒では、日本語の使用が3割弱でもっとも多く、フィリピノ語・中国語の順に続いた。

 都道府県別で日本語指導が必要な外国籍の児童生徒の在籍数をみると、愛知県が1万749人と突出して高く、ついで神奈川県5,261人。日本籍の児童生徒数の最多は神奈川県2,037人、ついで愛知県1,989人だった。

 今回初めて特別支援学級における日本語指導が必要な児童生徒数を調査したところ、外国籍の児童生徒数は2,199人、日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数は505人だった。さらに、日本語指導が必要な中学生等の進学率等を初調査したところ、高等学校等への進学率は89.9%だった(全中学生等の進学率99.2%)。

 日本語指導が必要な高校生等の中退率は、前回9.6%から5.5%に改善したものの、全高校生等に対する割合は依然として高い(全高校生等1.0%)。一方、進路状況では、大学等に進学した生徒は、前回42.2%から51.8%に改善しているものの、全高校生等73.4%と比較すると依然として低い割合となっている。

 就職者における非正規就職率は、全高校生等のおよそ12倍にあたる39.0%(前回40.0%)。さらに進学も就職もしていない者の割合は、前回の18.2%から13.5%と改善しているが、全高校生等と比較すると2.1倍と多い。

 日本語指導が必要な児童生徒等の受入れに必要な指導体制が整備されている地方公共団体は52.6%。このうち学校での日本語指導でICT端末等を活用している(検討中を含む)地方公共団体はおよそ3割で、7割弱が「活用していない」ことが明らかとなった。


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