文部科学省は2022年10月7日、国立大学等の施設において、地域や産業界等の多様なステークホルダーが共創し新たな価値を生み出す共創拠点を整備していくため報告書「『イノベーション・コモンズ(共創拠点)』の実現に向けて」を取りまとめWebサイトで公表した。
大学等のキャンパス・施設では、Society5.0の実現に向け、国立大学等が地域・社会における課題解決や新たなイノベーション創出の視点から、ソフト・ハード一体となった教育研究環境の整備充実等を図り、学生や教職員、地域や産業界等の多様なステークホルダーが大学等の施設を最大限活用して新たな価値等を生み出していくことが求められている。
この拠点となるのが「イノベーション・コモンズ(共創拠点)」であり、その実現のためには、各大学等の「共創」のコンセプトの明確化、キャンパスマスタープラン等の再構築、それらを踏まえた戦略的リノベーション等の施設整備に加え、各大学等の特色・強みを生かしていくことが重要となる。
実現に向けては、2021年10月より「国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議」(主査:西尾章治郎大阪大学総長)で検討を重ね、今回報告書として取りまとめ公表した。このうち、国が取り組むべき方策として、国の予算のより⼀層の確保・充実やソフト・ハード⼀体的な取組みへの支援、大学等の取組みの掘り起こし・伴走支援等を提言。各国立大学等においても、提言を踏まえ、主体的にキャンパス・施設整備に取り組むことが期待される。
報告書「『イノベーション・コモンズ(共創拠点)』の実現に向けて」は2部構成。第1部ではキャンパス・施設整備の事例整理の他、取組ポイントと具体的な整備イメージ等を掲載。第2部では共創活動を支える拠点の整備に取り組んでいる国公私立大学等の参考となる46事例を掲載している。
たとえば東北大学では、産学官が集う社会課題解決型キャンパスとして整備する青葉山新キャンパスにおいて、共創の場として「サイエンスパーク型研究開発拠点」の整備を進めている。ここでは、「東北大学ビジョン2030」に基づき、社会のグローバリゼーションやDXへの対応、持続可能な社会の構築に向けて、現在、国際集積エレクトロニクス研究開発センターや、マテリアル・イノベーション・センターを拠点に産学共同研究や地域連携を実施。今後は「官民地域パートナーシップ」により建設中の次世代放射光施設等をあわせて、新技術と新産業分野の創出を目指し、産業界との共同研究をはじめとする産学共創と課題解決型研究を推進する。
詳細は文部科学省Webサイトに掲載の「『イノベーション・コモンズ(共創拠点)』の実現に向けて」で確認できる。その他、参考資料や取組ポイントを別紙で公開している。