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国内大学の情報系学部・学科、進学需要増加も定員変化なし

 みんなのコードは、Googleの協力のもと「日本国内の大学における情報系学部・学科の実態調査」を実施、結果を公表した。情報系学部・学科への進学需要が34%増加している一方で、国内における同学部・学科の定員数が過去10年間で増加していない実態が明らかになった。

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日本国内の大学における情報系学部・学科の実態調査を公表
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 みんなのコードは、Googleの協力のもと「日本国内の大学における情報系学部・学科の実態調査」を実施し、レポートにまとめて公表した。その結果、情報系学部・学科への進学需要が34%増加している一方で、国内における同学部・学科の定員数が過去10年間で増加していない実態が明らかになった。

 調査は、河合塾が2011年度・2016年度・2021年度に高校3年生・卒生を対象に実施した「全統模試」(全統共通テスト模試 旧:全統マーク模試、受験者数は年度により異なるが約40万人)における受験者の志望校データの提供を受けて実施された。

 調査背景にあったものは、この10年間で増加を見せる情報系学部・学科志願者に対して、固定化している大学定員がもたらす受け皿不足に対する教育現場の懸念。河合塾から提供を受けたデータ等を用いてサンプル調査を実施し、2つの仮説「情報系学部・学科への進学希望者と入学者定員数の需給バランスの不均衡が発生しているのではないか」「女子の情報系学部・学科の志願者・入学者が少なく、ジェンダーギャップが存在するのではないか」を検証したところ、仮説を支持する結果が得られた。

 調査結果によると、国公立大学に絞っても、情報系学部・学科の志望者数は2011年の1万2,652人から2021年の1万6,938人へと34%増加していた一方で、国公立大学前期日程の情報系学部・学科の定員は2011年の5,087人から2021年の5,064人と横ばいであり、その結果、志望倍率は2.49倍から3.34倍へと上昇。志望者の増加に対する受入定員数不足が明らかとなった。私立大学についても同様の傾向がみられた。また、情報系以外の理学部、工学部における女子比率は2011年から2021年にかけて微増しているのに対して情報系は微減した。

 みんなのコードでは、調査で示唆された内容に学校現場・産業界からの情報もあわせ、今後は「地域間格差の把握」「情報教育における高校から大学への接続性の確保」「大学での教育内容の充実」の3つの課題についての検討が必要と提言。情報系の学部・学科の新設はスタートラインで、学生ひとりひとりが充実した学びを実現して社会へ出て活躍することを重要ととらえており、そのためには、ジェンダーバランスにも考慮した優秀な教員の確保や卒業後も見据えたカリキュラムの設計等が求められる、としている。

 デジタル人材の不足と諸外国と比較しての全体的な理工系入学者の割合の低さについては政府も懸念しており、2022年6月7日に政府が公開した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)では、「人への投資」を前面に押し出して「デジタル化に対応したイノベーション人材の育成等、大学、高等専門学校、専門学校等の社会の変化への対応を加速」「自然科学(理系)分野の学問を専攻する学生の割合についてOECD諸国でもっとも高い水準である5割程度を目指す」こと等を掲げている。デジタル等の成長分野への大学の再編・統合・拡充を促進する仕組みの構築や成長分野における定員増等が今後の対策としてあげられており、みんなのコードでは、調査で明らかになった情報系学部・学科の需給バランスの不均衡を改善するものと期待している。


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《増田有紀》

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