コロナ禍の中で実施された「令和2年度(2020年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小中学校における不登校の児童生徒数は19万6,127人にのぼり、調査開始以降最多となった。報告書案では、背景についてコロナ禍による生活環境の変化により、生活リズムが乱れやすい状況であったこと、学校生活でさまざまな制約がある中でうまく交友関係が築けない等、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等が考えられるとした。
個々の不登校児童生徒の状況を適切に把握し、多様な支援を実現することが必要と指摘。今後重点的に実施すべき施策の方向性については、「誰一人取り残さない学校づくり」「不登校傾向のある児童生徒に関する支援ニーズの早期把握」「不登校児童生徒の多様な教育機会の確保」「不登校児童生徒の社会的自立を目指した中長期的支援」という4つを柱にあげた。
このうち、「不登校児童生徒の多様な教育機会の確保」では、都道府県等による広域を対象とした「不登校特例校」(分教室型含む)の設置推進、教育支援センターの機能を強化して遠隔地や相談につながりにくい児童生徒へのアウトリーチ型支援等を一括して行う「不登校児童生徒支援センター(仮称)」の設置促進、フリースクール等の民間団体との連携促進等を提言した。
不登校特例校では、通常の学校の教育課程より総授業時間数や教育内容を削減し、少人数指導や習熟度別指導、個々の児童生徒の実態に即した柔軟な指導・支援等を行うことができる。2022年4月現在、全国で21校開校している。報告書案では、不登校特例校において児童生徒ひとりひとりの課題を踏まえた指導を行うため、必要な教職員定数や支援スタッフを確保し、対面を基本としつつ一部オンラインを組みあわせた方法も推進する等、公立・私立ともに指導体制の充実を図る必要があるとしている。