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【外国人児童・保護者対応法を解説】生活・習慣の違いについては丁寧に説明を

 小学館「学級担任のための外国人児童指導ハンドブック」は、長年、外国人児童指導に携わってきた多文化共生教育のスペシャリストが、一般校の学級担任向けに、外国人児童の支援法や、指導の方法、外国人保護者への対応法等をわかりやすく解説した本。

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生活や習慣の違いにどう対応する? (c) 畠山きょうこ
  • 生活や習慣の違いにどう対応する? (c) 畠山きょうこ
  • 「学校のきまり」を多言語化する
  • ステレオタイプの見方で接しない (c) 畠山きょうこ
 小学館「学級担任のための外国人児童指導ハンドブック」は、長年、外国人児童指導に携わってきた多文化共生教育のスペシャリストが、一般校の学級担任向けに、外国人児童の支援法や、指導の方法、外国人保護者への対応法等をわかりやすく解説した本。今回は、生活や習慣の違いへの対応について紹介する。

学級担任のための外国人児童指導ハンドブック(小学館)
生活や習慣の違いにどう対応する? (c) 畠山きょうこ


国が違えば、習慣も違う


 日本人が外国の学校を訪れると、日本とは異なった文化に触れることが多々あります。登下校時も、スクールバスの利用や保護者の送迎が多く、子供たちだけで登下校することは御法度とされている国や地域もあるようです。また服装も、制服の場合や体操服の場合、かばんも背中に背負うタイプやキャリーバッグのようなタイプ等さまざまです。

 また、制服のように決められた物以外、たとえば、髪型や髪の色、ピアス等の装飾品、飲み物やおやつ、昼食等については、各家庭で決めることとされていて、みな個性的でした。したがって、来日したばかりの外国人児童とその保護者にとっては、日本の習慣や常識のほうが非常識に思えることも珍しくないのです。頭ごなしに禁止や強制をせず、その目的や用途について丁寧に説明することが大切です。また、多数派である日本の子供たちにも丁寧に説明し、お互いの違いを認め、受け入れることができる雰囲気づくりをすることも大切です。

日本の文化や習慣を理解してもらうために


 以前、来日したばかりの外国人児童が、学校帰りにランドセルからお菓子を取り出して食べている、ということがありました。日本では、学校に食べ物を持ってきて食べる習慣はなく、今後、友達とのトラブルが起こることが予想されました。

 そこで、担任の先生は周りの子供たちに、日本以外の国や地域の学校では、学校の中にお店があって、文房具や食べ物を買うことができること、また、午前中の休み時間には持ってきたおやつを食べる習慣があることを話しました。そして、日本も以前は学校に購買部と呼ばれるお店があったこと、今でも一部の中学校や高校では、その習慣が残っていること等についても話しました。そのうえで、その外国人児童とその保護者には「日本の学校の給食は、一汁三菜で量も栄養も十分であること」等を説明して、学校にはお金やおやつを持ってこないという話をして理解してもらいました。

 このように、外国人児童に関わる教職員や支援者、周りの子供、その外国人児童自身が、自分と異なる文化や習慣を知ることで、行き違いによる対立を軽減することができるのです。

学級担任のための外国人児童指導ハンドブック(小学館)

「掃除をしない…」ではなくて!?


 日本では、当番活動や掃除等のように生活面での学習も重視されていますが、他の国や地域では授業で取り上げることすらないことがあります。日本での掃除は、それぞれの役割を分担して行うことによって、協調性や責任感、規律等も学んでいるため、ただ「掃除をしなさい」ではなく、外国人児童とその保護者にも丁寧に説明して、理解してもらう必要があります。

 また、日本の子供たちにも、「多くの国々では教室の掃除は、放課後に清掃業者が行う」等、他の国や地域の実情や価値観について紹介し、理解してもらうことも大切です。たとえば、日本のハンバーガーショップでは、店内で食べ終わると、ゴミ置き場に分別して捨てるという習慣があります。海外では清掃員が常駐していることが多く、日本のようにお客さんが片付けようとすると、「私たちの仕事がなくなる」と言わんばかりに、怒られることがあります。まずは、教師が率先して掃除をして、「みんなできれいにすると、気持ちがいいね」「日本中をきれいにしたいね」という雰囲気づくりをすることが望まれます。

学級担任のための外国人児童指導ハンドブック(小学館)
ステレオタイプの見方で接しない (c) 畠山きょうこ


<協力:小学館>
学級担任のための外国人児童指導ハンドブック

発行:小学館 著/菊池聡
 外国人児童のいる教室で起こりがちなトラブルやエピソードを4コママンガで紹介しながら、外国人児童指導におけるさまざまな悩みに具体的に答え、すべての子供がともに学び成長していける教室をどのようにつくればよいかを易しく解説していく。

 日本語がわからない子供とのコミュニケーションの取り方や日本語指導、学習指導、外国人児童のいる学級のつくり方等、具体的な指導アイデアも満載で、多文化共生時代の学級担任の強い味方となる1冊だ。

《編集部》

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