全国高等学校長協会は2021年10月4日、2025年度(令和7年度)大学入学共通テストにおける新教科「情報」の取扱いについて、国立大学協会に要望書を提出した。新課程履修者と旧課程履修者が混在する導入初年度は、旧課程履修者への影響を最小限に抑えるため、「情報I」を一律に課すことは慎重に検討してほしいと求めている。 2025年度大学入学共通テストをめぐっては、文部科学省が9月29日に「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告(補遺)」を公表。新しい教科「情報」の経過措置等を明らかにしている。 要望書で全国高等学校長協会は、現在の教育課程を修了した入学志願者(旧課程履修者)に対して出題される科目「情報I」の経過措置問題について「旧課程履修者にとって、大学入学共通テストで課されることを前提に履修していなかった科目であり、浪人した場合に志望大学で新しい教科『情報』が課されることに不安を抱えている」「受験科目数が増加する負担を考え、令和6年度(2024年度)には現役での合格を優先するために第一志望校の受験を断念する生徒が出る等の影響も懸念されている」と説明した。 国立大学協会の決定に基づいて5教科7科目(6教科7科目)の試験を課すことについては、高校等の基礎的教科・科目の普遍的な学習を促すという趣旨に理解を示したが、「今回のような新教科導入は大学共通第1次学力試験以来、前例がない」とも指摘。全国高等学校長協会としてこれまで、大学入学者選抜協議会の中で、新課程履修者と旧課程履修者が混在する導入初年度に限定して、旧課程履修者への影響を最小限に抑えるため、「情報I」を課す大学は真にその教科の学習が必要な大学のみとするよう要望してきたと振り返った。 そのうえで、2025年度大学入学共通テスト「情報I」の取扱いについて、国立大学協会として「6教科8科目」のように一律に課すことについては慎重に検討するよう要望。教科「情報」を課す場合は、「課す理由を入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)との関連を明らかにして丁寧に示すとともに、志願者の納得が得られるよう、説明責任を十分に果たすよう促してほしい」と求めている。