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学校集団接種「推奨するものではない」文科省が通知

 新型コロナウイルス感染症の予防接種を中高生等に集団で実施することについて、文部科学省は2021年6月22日、学校設置者に通知を発出した。学校集団接種について「現時点で推奨するものではない」と明記し、接種が事実上の強制とならないよう留意すべき点を示している。

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  • 萩生田光一文部科学大臣記者会見(2021年6月22日)
 新型コロナウイルス感染症の予防接種を中高生等に集団で実施することについて、文部科学省は2021年6月22日、学校設置者に通知を発出した。学校集団接種について「現時点で推奨するものではない」と明記し、接種が事実上の強制とならないよう留意すべき点を示している。

 今回の事務連絡は、中学校、義務教育学校後期課程、高等学校、中等教育学校、特別支援学校の中等部・高等部、専修学校高等課程の生徒が、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受ける場合を想定したもの。学校を会場とし、その学校に所属する生徒に接種を行う形態の集団接種「学校集団接種」を実施することについて、考え方や留意点等を取りまとめている。

 生徒へのワクチン接種を学校集団接種によって行うことについては、「保護者への説明の機会が乏しくなる」「接種への個々の意向が必ずしも尊重されず同調圧力を生みがち」「接種後にみられた体調不良に対するきめ細かな対応が難しい」といった制約があるとし、「現時点で推奨するものではない」と記している。

 ただし、個別接種の体制の確保が困難である場合等、地域の事情により市町村の判断で学校集団接種を行う必要がある場合には、適切な対策を講じる場合に限り実施できるとしている。その際の留意点には、生徒や保護者に対する丁寧な情報提供や同意の取得、接種を受ける・受けないで差別やいじめが起きることのないよう生徒に指導し保護者にも理解を求めること等をあげている。

 学校集団接種が事実上の強制とならないために留意すべき点には、授業中等の教育活動を実施している時間帯には行わない、放課後や休日・長期休業期間等に設定する、生徒の行事への参加等にワクチン接種等の条件を付さないことを求めている。

 この他、集団接種に対応できる体制の整備、思春期に発生しやすい予防接種ストレス関連反応への対応、児童生徒が医療機関等でワクチン接種を受ける場合の出欠の取扱い、副反応が出た児童生徒の出欠の取扱いについても記載している。

 子供へのワクチン接種をめぐっては、ワクチン担当の河野太郎大臣が夏休み中に打ってもらいたいと発言し、その後、誤解を与えたとして自身の発言を修正している。6月22日に会見した文部科学省の萩生田光一は「ワクチン接種を希望する児童生徒への接種時期として夏季休業期間を活用することは考えられると思うが、一方で各自治体によって住民への接種状況や医療機関との接種体制は異なっている。政府としては児童生徒の接種を夏休み中に終わらせてほしいと考えているものではなく、まずは高齢者等の重症化リスクの高い層の接種を進めていただきたい」と述べた。

 なお、事務連絡は現時点の知見に基づき作成したもので今後、新たな知見が得られた場合は変更の可能性があり得るという。
《奥山直美》

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