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名古屋市、GIGAタブレット使用停止…操作履歴収集を問題視

 名古屋市教育委員会は、GIGAスクール構想において市立小中学校に配布を進めているタブレット端末について、市の個人情報保護条例に違反している疑いがあるとして使用を一時中止した。目的を明らかにしないまま操作履歴を収集して保管していることが問題視されている。

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 名古屋市教育委員会は、GIGAスクール構想において市立小中学校に配布を進めているタブレット端末について、市の個人情報保護条例に違反している疑いがあるとして使用を一時中止した。目的を明らかにしないまま操作履歴を収集してサーバーで保管していることが問題視されている。

 2021年6月9日に開催された名古屋市議会教育子ども委員会において、委員から「アクセスログの取得は個人情報保護の観点から、児童生徒にきちんと了解を取る必要がある」と指摘があった。名古屋市教育委員会は、児童生徒や保護者の了解を得ていないことを認めたうえで、「今後何らかの手段で、全児童生徒に操作ログの利用目的を明示していきたい」と答弁した。

 6月11日に会見した文部科学省の萩生田光一大臣は、ICT端末の利用における個人情報の取扱いに関して「GIGAスクールを1年で一気に前倒すということを決めた段階からガイドラインに示している」と説明。2021年3月末に改訂した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」においても各自治体の個人情報保護条例等に基づき適切な運用を行うよう周知しているとした。

 今回の事案については「名古屋市において条例に基づき適切に対処されるべきものと考えている」と発言。さらに「1年間の準備期間の中で、条例変更するか、あるいは条例をそのままにして子供たちの履歴はクラウド上に保管することを保護者の同意を取るか、どちらかをどこの自治体も必ずやっているはず。そういう意味では、こういうことが新学期が始まって出てきたことはすごく残念」と述べた。

 名古屋市では2021年度に入ってからも小中学生1人1台端末配備が完了しておらず、残り9万台とされている。萩生田大臣は「2学期に間にあうのか逆に心配している」とも語った。
《奥山直美》

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