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【クレーム対応Q&A】県外へ旅行する家庭に警告を

 今回は、今後も増えていくと思われる新型コロナウイルスの感染に関係し、「家族で旅行などに行っていることを注意してほしい」ということをテーマにします。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第32回は「緊急事態宣言下なのに、子供の友人一家が県外に旅行していた。注意すべきではないか」

コロナ禍の学校生活


 2021年4月23日現在、大阪府や東京都などに緊急事態宣言が発出されることに際し、学校をどのような形にしていくのかということが議論されています。今回は、今後も増えていくと思われる新型コロナウイルスの感染に関係し、「家族で旅行などに行っていることを注意してほしい」ということをテーマにします。

 今回の新型コロナウイルスに関しては、これまでの日本の学校が経験してきたことのない状況となっています。2020年2月の一斉休校、その後の学校の再開、感染予防をしながらの学校生活など、コロナ以前の学校とは明らかに違うものと言えるでしょう。

 学校においては、給食で食べる席の形を変えたうえで黙って食べたり、体育で身体接触の少なくなるやり方で取り組んだり、消毒の回数を増やしたりとさまざまな対応をしながら、感染予防に努めています。それでも、完全に防ぐことができている訳ではなく、イギリス由来の変異型の流行と共に、学校や園でのクラスターに関するニュースを耳にする機会が増えてきています。

 今回の新型コロナウイルスへの対応において難しいことが、家庭が大きく関係しているということです。仕事場や飲食店などで親が感染し、それを家庭内で子供に感染させてしまうということがあります。また、家族で旅行などに行き、それが原因で感染するというケースも考えられます。

学校が各家庭の行動を注意するのは難しい


 そういった学校外での各家庭の行動に関し、学校はどこまで関わっていくのかという問題は難しい所です。たとえば、都道府県の境を越えるような外出は控えるようにそれぞれの自治体から要請が出ていたとします。それを守ることできていない家庭があったとしても、学校が直接「注意」することは難しいでしょう。学校にはそういったことをする権限はありませんし、そうすることによって学校と家庭(保護者)の関係が良くないものになってしまう可能性があります。「何で、私達だけ注意をされないといけないの」のような反論が出てくることが考えられます。

 現状において親に対して学校ができることとしては、プリントやメール、学校Webサイトなどにおいて、コロナに関する情報を伝え、注意喚起を行っていくことになります。これはその地域の感染の状況などによっても違ってくるものなので、それぞれの自治体の担当者などと連携しながら取り組んでいくこととなるでしょう。

子供を通じて家庭に情報を伝達する


 親に対してはできることに限界はあるのですが、子供に対してはできることがたくさんあります。学校の活動の中で、コロナウイルスに関する正しい知識を伝え、望ましい行動についての理解を深めることなどです。そういったことに取り組んでいくことで、家庭において「旅行に行こう」という話になった時に、子供が「今の時期はやめたほうがいいのでは…」という言葉が出るかもしれません。子供を仲介役として、家庭に情報を伝達していくイメージです。学校としてできることに取り組み、感染の広がりを抑えるにつなげることができればと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられたクレームのほか、保護者が学校へ伝えたクレーム等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたいクレーム事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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