金沢工業大学工学部情報工学科とDMM.com、FAPは、ともに進める共同研究の成果として、2020年度に「教育用ドローンを用いた教材開発」と「VRゲームコントローラーを題材としたプログラミング教材の開発」を行ったと発表した。3月18日・19日の「情報処理学会第83回全国大会」でも成果発表を行う。 金沢工業大学工学部情報工学科 河並崇准教授の研究室、DMM.com、FAPの三者は、2019年度から共同で「未来トップクリエーターの養成を目指すSTEAM教育に関する研究と教材の開発」を進めている。プログラミングを中心にSTEAM領域を同時に学ぶことができる教材の開発を目指す共同研究で、2020年度は「教育用ドローンを用いた教材開発」と「VRゲームコントローラーを題材としたプログラミング教材の開発」を行った。 「教育用ドローンを用いた教材開発」では、ドローンによるスマート農業を目指し、圃場の自動見守りをテーマに開発を進めた。ドローンの飛行コースの設定、ドローンのフィールド基地の開発、ドローンの帰還方法の策定、気象監視、画像処理による熊の検知などを題材とし、教材のプラットフォーム開発を実践。このプラットフォームをベースに、今後、具体的な教材開発を行っていくという。 2月21日に開催された金沢市主催の「金沢市キッズプログラミングスクール」では、ドローン教材の中の「ドローンの飛行コースの設定」部分を切り出し、ドローンの専用コントローラをプログラミングによって開発できる小学生向けの教材として公開。実際に小学生に体験してもらった。専用コントローラは教育用コンピュータでmicro:bitを用いており、金沢工業大学で開発したオリジナル命令(ブロックプログラミング用のブロック)を使って容易に開発することができるため、今後は教材を活用した「ドローンコンテスト」の開催に結びつけたいとしている。 「VRゲームコントローラーを題材としたプログラミング教材」では、注目度は高いがプログラミング初学者には敷居が高いという課題がある「VR」について、教育用コンピュータのmicro:bitをVRコントローラとして用い、VRコントローラを自らプログラミングすることでゲームを進められる仕組みを考案。 金沢工業大学オリジナルの弓による的宛てVRゲームを題材にし、チュートリアルを進めることにより「弓をつがえる・弓を放つ・弓の強さを変える」というようにコントローラの改良を行うストーリーを開発した。最終的にはmicro:bit間の電波強度を用い、実際の弓のように引く量によって強さが変わる教材となっている。今後は、DMM VR lab(DMM.com テクノロジー本部VR研究室)が提供するDMM VR Connectなどを用いた開発を行う予定だという。 今回の研究成果は、3月18日から20日までオンラインで行われる「情報処理学会第83回全国大会~コロナ新時代の情報処理~」でも発表される。発表日時は3月18日・19日の午後0時40分から午後3時10分。詳細は大会Webサイトで確認できる。将来的には教材としての市販化も目指している。