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【クレーム対応Q&A】成績の付け方に納得できない

 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第15回は「成績の付け方に納得できない」。

成績について説明責任がある


 親から学校に問い合わせがあるものに「成績」についてのものがあります。特に通知表が配られた後に問い合わせがあることが多いです。

 学校での成績に関して、学校や担任には「説明責任」があります。どういった経緯でそのような成績になったのかということです。きちんと説明ができる形で成績を出すことが求められています。そのためには、数値化などをする必要があります。テストの点数だけでなく、それ以外のもの(提出物など)に関しても数値化し、まとめていくことなどです。

 小学校と比べ、中学校・高校の方がそういった面ではきちんとされています。中学の成績はそれが高校入試の合否の一部に関係する場合も多いからです。生徒や親も成績に敏感になります。そういったことが教師の対応にも影響を与えています。

 私が現在教えている大学では、さらに明確な基準を示す形で取り組まれています。すべての授業において「シラバス」というものの中に評価の基準や方法が明確に示されています。事前にすべての学生が読むことができるようになっています。そういったものを読み、理解したうえで授業を履修するということになっています。さまざまなトラブルを防止するためには、事前にそういった丁寧な説明をすることが大事なのだと思います。また、1回目の授業においても評価については、丁寧に説明をしています。大学の授業は小学校などとは違い、学生と会う回数も少ないですし、人数が多い場合は顔と名前が一致しない場合も多いです。そういった状況なので、明確な基準を示すことなどが求められます。

具体的な対応は…


 ところで、成績に関し、保護者から問い合わせなどがあった場合の具体的な対応については次のようなものになります。保護者から問い合わせがあったものに関して可能な限りデータを開示します。名前を出さないような形で比較のできる他の人のデータなども見せることも良いかもしれません。全体の中でのその子どもの状況(位置)を示し、そういった成績になったということを理解してもらう形になります。客観的なデータを示すことができれば、多くの場合は納得してくれます

 難しいものが、何らかのミスがあった場合です。近年、成績処理はパソコンを用いて行われています。計算が正確になされることなどのメリットがあります。ただ表に打ち込む数値が1マスずれてしまうことなどのミスが起こる可能性があります。通知表の印字もプリンターで行われることが多いです。手書きで行っていた時は清書の際に間違えていることに気づくこともありました。機械で印刷する際はそういったことに気づきにくくなります。

 明らかなミスがあった場合は、担任が謝罪をするというレベルの対応ではなくなります。自治体にもよりますが、その状況についての調査があり、そのうえで「通知表の誤表記について」などの表題で教育委員会のホームページにその詳細が載せられる場合もあります。早急に管理職などに連絡し、指示のもと、対応していくことが求められます。そういったことにならないように丁寧に仕事に取り組むことが大切でしょう。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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