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【クレーム対応Q&A】学校の新型コロナウイルス対策に不安

 保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第2回は「学校の新型コロナウイルス対策に不安がある」。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?神奈川県と埼玉県で計22年、小学校教諭として教壇に立ち、クラス担任として豊富な経験があり、現在は大学で教員養成、保育者養成に携わっている鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第2回は「学校の新型コロナウイルス対策に不安がある」。

新型コロナウイルスは未知のことが多い



 今回の新型コロナウイルスへの対応は、わからないことがとても多いです。国や都道府県の方針もはっきりと定まらない場合もあり、親が行政の対応や学校の対応などに不満を抱いているケースも少なくありません。

 また、今年度(2020年度)は、教師と親が情報交換をするような懇談会や個人面談などが少なくなっています。そのことによって、信頼関係を築くことができてないケースもあります。そういったことが、複合的に関係し、学校の対応への不満、通学への不安などにつながっているという状況にあります。

文部科学省が定めた新型コロナウイルスへの基本方針



 新型コロナウイルスへの対応の基本方針は文科省が定めています。たとえば、6月5日に出された通知には欠席などについて、次のように書かれています。
「保護者から感染が不安で休ませたいと相談のあった児童生徒等については、新型コロナウイルス感染症については現時点で未だ解明されていない点も多いなどの特性に鑑み、たとえば、感染経路のわからない患者が急激に増えている地域であるなどにより、感染の可能性が高まっていると保護者が考えるに合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上『出席停止・忌引等の日数』として記録し、欠席とはしないなどの柔軟な取扱いも可能である。」

オンライン授業の対応



 オンラインでの学習への対応などは各学校による独自での取組みではないことが多いです。機器の導入や運用規定などは、市区町村教育委員会が決定しているケースがほとんどです。教育委員会などの指示に従って、取り組んでいくことになります。

 さまざまな疑問や不安を持った親に対しては、その疑問や不安を聞くということが大事ですが、そのうえで、文科省や教育委員会で決められていることなどについて丁寧に説明をすると良いと思います。オンラインでの学習に関し「色々と取り組んでいる熊本市のように何でできないのですか?」という内容のことを言ってくる親もいると思います。先進的な取り組みをしている事例はニュースなどで取り上げられるからです。

 そういった場合、学校としてできることは今後取り組んでいくことを説明すると共に、そういった内容を伝えるべき本来の部署(教育委員会や文科省の相談窓口など)を教えていくということが良いのだと思います。たとえば、機材(タブレットなど)がほとんど無い状態なのに、親からオンライン教育を進めてほしいと学校が言われたとしても、学校ができることはあまりありません。

先生と保護者が互いを助け合えるような関係を作る



 新型コロナウイルスに関することだけではありませんが、学校や担任は、親から苦情などを聞く窓口のようになっている現状があります。今回の新型コロナウイルスに関しては、わからないことが多いこと、新たな知見が発見されることなどにより、学校での対応がちぐはぐになってしまう可能性があります。学校としては、文科省などから通知をしっかりと理解することがまず大事になるでしょう。

 そのうえで、困難な問題に立ち向かう仲間のような感じで保護者との関係を作ることができれば良いと思います。親もわからないことへの不安から神経質になってしまうことがあります。それは教師も同様だと思います。不信感を持ち、不満をぶつけ合うような関係ではなく、互いを助け合えるような関係になることが望まれます。そういったことを各種の便りや対面の場(懇談会など)で積極的に伝えていくと良いでしょう。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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