大学入試で主体性の評価などに活用される高大接続ポータルサイト「JAPAN e-Portfolio」について文部科学省は2020年7月31日、教育情報管理機構の運営許可を取り消す方針を明らかにした。利用データの取扱いなどについては、高校関係団体などと調整中だという。 「JAPAN e-Portfolio(ジャパンeポートフォリオ)」は、学力3要素の中でも「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」をより適切に評価できるよう、生徒の学びに関するデータであるポートフォリオと大学ネット出願システムなどを統合したシステム。教育情報管理機構が文部科学省から許可を受け、2019年4月より運営。ベネッセコーポレーションが運営サポートを行っている。 文部科学省は、教育情報管理機構から2019年度(令和元年度)の決算報告と事業報告の提出を受け、「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」において、運営許可の継続の可否について非公開で調査を実施。協力者会議で教育情報管理機構の財務状況を不安視する意見が多く出されたことを踏まえ、今後運営許可を取り消す方針を固めた。運営が取り消された場合の事業停止に備え、利用者の登録データの取扱いなどについて、高校関係団体などと調整しているという。 7月31日に会見した萩生田光一大臣は「文科省としてもこのJAPAN e-Portfolioの運営を許可したものとして高校生や利用大学に対して運営停止に伴う対応等について丁寧に説明する」と発言。大学入試における多面的な評価の内容や手法などについて、検討を進めていくとした。 主体性評価については、「1点刻みの受験だけじゃなくて、いろんなことに頑張ってきた高校生たちを正しく評価をしよう、人間力を見てあげようという思いはこれから大事な視点だと思う」と述べたうえで、「学校の先生方の調査書などで(主体性を)しっかり読み取ってもらえるような努力をしていただきたいと思っているが、今後どうするかはまた改めて検討したい」と語った。