教育業界ニュース

「9月入学より本当に必要な取組みを」日本教育学会が提言

 日本教育学会は2020年5月22日、「9月入学よりも、いま本当に必要な取り組みを―より質の高い教育を目指す改革へ―」と題した提言書を文部科学省に提出した。9月入学制の導入による問題点を指摘し、9月入学よりも緊急に必要な取組みについて具体例をあげて提案している。

教育行政 その他
日本教育学会
  • 日本教育学会
  • 日本教育学会「9月入学・始業制」に関する提言書の提出と記者会見について
 日本教育学会は2020年5月22日、「9月入学よりも、いま本当に必要な取り組みを―より質の高い教育を目指す改革へ―」と題した提言書を文部科学省に提出した。9月入学制の導入による問題点を指摘し、9月入学よりも緊急に必要な取組みについて具体例をあげて提案している。

 9月入学・始業について、日本教育学会は5月11日に声明を発表。「拙速な導入はかえって問題を深刻化する」として、慎重な社会的論議を求めている。

 今回の提言書は、9月入学への制度変更が拙速になされようとしている状況に対して、教育学の専門的立場から、メリット・デメリットの論点を整理し、今本当にやるべきこと・できることについて提言をまとめたもの。全40ページにわたり、「はじめに」「第I部:9月入学・始業実施の場合必要な措置と生じる諸問題」「第II部:いま本当に必要な取り組みに向けて」「おわりに」の4つで構成している。

 9月入学のメリットには「国際化」をあげたが、「効果は限られる」とした。デメリットについては、臨教審が検討する4パターンの移行方式の問題点を解説したほか、「待機児童の大量発生」「新1年生に『1.4倍世代』が生まれる」「私立大学・専門学校の経営危機あるいは大量の中退者」などを指摘した。

 9月入学導入に伴う財政負担については、文部科学省の調査結果などをもとに「小学校1年生の1.4倍化に対応するための措置」1兆8,160億円以上、「私立学校等の逸失学費の補填」1兆6,300億円~2兆5,700億円、「小学校・中学校・高校段階の家庭の教育費負担」2兆5,000億円などを試算。国・自治体の支出や家庭負担の増は総額で6.5兆円~7兆円になるとし、「これだけの費用がかかり、かつさまざまな問題を各方面に発生させる、9月入学をいまこの時期に実施するだけの価値はあるか」と訴えている。

 「いま本当に必要な取り組み」には、「オンライン学習の環境整備」「家庭学習支援」「学校の本格的再開後に向けた準備」「最終学年の児童生徒への特別な配慮」などをあげ、そのために必要な措置や方策などをまとめている。

 入学者選抜については、「9月入学・始業を前提としない場合でも、これだけ多くの地域で休校措置が長期にわたって続いている現状を踏まえれば、従来通りに入学者選抜を行うという選択肢はほぼない」と指摘。緩和あるいは救済的な措置の方法として、「試験内容による調整」「試験時期による調整」「選抜方法による調整」の3つを提案した。
《奥山直美》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top