文部科学省は2026年7月7日、2026年(令和8年)版「科学技術・イノベーション白書」を公表した。2025年度の科学技術・イノベーション創出の振興に関する年次報告とともに、「科学とイノベーションが切り拓く我が国の未来」と題し、科学とビジネスの近接化や、第7期科学技術・イノベーション基本計画で目指す政策の方向性を特集している。
「科学技術・イノベーション白書」は、科学技術・イノベーション基本法に基づき、政府が科学技術・イノベーション創出の振興に関して講じた施策を報告するもの。白書は、年度ごとの話題を特集する第1部、年次報告となる第2部で構成している。2026年版では、第7期基本計画が始まる最初の年として、計画のキーワードの1つである「科学とビジネスの近接化」を切り口に、ノーベル賞受賞者のインタビューなどを交えながら今後の政策の方向性を解説している。
第1部第1章では、2025年ノーベル賞の研究成果と社会実装に向けた取組みを紹介。科学に対する官民投下資本の巨大化により、基礎研究の段階から事業化や社会実装を見据えた研究開発が同時並行的に進む構造が主流になりつつあるとし、基礎研究そのものの重要性が高まっていると説明している。
具体例として、2025年にノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文氏、ノーベル化学賞を受賞した北川進氏の取組みを紹介。両氏の研究成果が、企業との共同研究や技術移転機関を介した研究成果の移転、スタートアップ創業などを通じて、実用化へつながる流れを示している。スペシャルコラムでは、ノーベル賞研究者と起業家が科学とビジネスの接点について語っている。
第1部第2章では、第7期基本計画で目指す科学技術・イノベーション政策の姿を整理。科学とビジネスの近接化に加え、ディスラプティブ・テクノロジーをめぐる国際競争の激化、科学技術・イノベーション政策と安全保障の一体化、AIによる科学研究のパラダイムシフトなどにより、世界の競争環境が大きく変化していると分析している。
第7期基本計画では、重点事項として6つの柱を設定した。知の基盤としての研究力を抜本的に強化する「科学の再興」、技術領域の戦略的重点化、科学技術と国家安全保障との有機的連携、産学官を結節するイノベーション・エコシステムの高度化、戦略的科学技術外交の推進、推進体制・ガバナンスの改革を掲げている。
第2部では、科学技術・イノベーション創出の振興に関して講じた施策についての年次報告をまとめている。Society 5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策や、ひとりひとりの多様な幸せと課題への挑戦を実現する教育・人材育成など、2025年度に政府が講じた施策や取組みを示している。
科学技術・イノベーション白書の概要版および本文は、文部科学省Webサイトで確認できる。サイトでは、今年度の白書の扉絵の解説や、過去の白書も公開している。









