システックITソリューションは、私立中学校・高等学校に子供を通わせている保護者を対象に「教員の働き方と教育の質に関する保護者の意識調査」を実施した。調査の結果、保護者の約7割が教員の多忙さを感じ、約6割が教育の質への影響を懸念。学校DXの遅れを感じつつ、学習状況の可視化などを求めている実態が明らかになった。
はじめに、「学校の教員に対して、『業務の多忙さ』を感じることはあるか」と尋ねたところ、約7割が「頻繁に感じる」(21.0%)「ときどき感じる」(45.8%)と回答した。多くの保護者が、教員の多忙さを実感していることがわかる。保護者が教員と直接接する機会は限られているものの、その短い時間を通じても、業務量の多さが伝わっているようすがうかがえる。
教員の多忙さを感じる理由については、「生徒ひとりひとりへの対応に余裕がなさそうだった」(44.8%)がもっとも多く、「行事前後に慌ただしさを感じた」(34.5%)、「授業以外の事務作業に追われているようすだった」(29.3%)と続いた。4割以上の保護者が、生徒ひとりひとりに対する対応に余裕がないと回答しており、個別対応の質への影響が懸念される。また、行事前後の慌ただしさや事務作業に追われているようすから、教員の業務が多岐にわたっている実態があり、こうした負担が、教育活動に割ける時間を圧迫している可能性がうかがえる。
次に、「教員の多忙さが、子供への『教育や指導の質』に影響するのではないかと不安を感じることはあるか」と尋ねたところ、約6割が「よくある」(14.2%)、「たまにある」(44.8%)と回答。教員の業務負担が教育や指導の質に影響を及ぼすのではないかと不安を感じていることが明らかとなった。
具体的に「教育や指導の質」への影響として懸念されることを尋ねると、「個別の学習状況への対応が十分でなくなる」(45.7%)がもっとも多く、「子供の小さな変化や悩みに気付きにくくなる」(45.2%)、「進路指導の質が低下する」(38.1%)と続いた。保護者はひとりひとりにあわせたきめ細かな指導が損なわれることに強い懸念を抱いているといえる。また、学習面だけでなく、子供の心理面・生活面へのケアの低下も危惧されていることがうかがえる。
教員に「もっと時間を使ってほしい」と思う業務については、「生徒との対話・コミュニケーション」(37.1%)がもっとも多く、「個別の学習指導・フォロー」(31.9%)、「進路指導・キャリア相談」(26.3%)と続いた。保護者は、教員に対して事務的な業務よりも、生徒との直接的な関わりや対話を重視した役割を期待していると考えられる。
学校業務のデジタル化の状況について、「子供が通う学校からの連絡や各種手続きにおいて、デジタル化(校務DX)が進んでいないと感じることはあるか」と尋ねたところ、約4割が「頻繁に感じる」(12.5%)、「ときどき感じる」(31.5%)と回答した。学校現場におけるデジタル化は一定程度進んでいるものの、依然として十分とはいえない状況がうかがえる。
デジタル化が進んでいないと感じる理由では、「学校からの連絡手段が複数に分散している(紙・メール・アプリなど)」(32.0%)が最多で、「紙のプリント配布や回収が多い」(31.5%)、「提出物や書類のやり取りが手作業で煩雑」(30.4%)と続いた。情報伝達や手続きの非効率さが、デジタル化の遅れを感じる背景にあるようだ。
「学校のデジタル化(校務DX)が進むとしたら、どのような情報が共有されたり、機能が充実したりすると安心か」という問いには、「テスト結果や成績の推移の確認」(33.2%)がもっとも多く、「宿題・提出物の状況管理」(24.9%)「日々の学習進捗の可視化・共有」(22.8%)が続いた。保護者は連絡がデジタルになることだけでなく、子供の学習状況を継続的に把握できる仕組みを求めているようすがわかる。
「教員間の情報共有や記録管理がスムーズに行われるようになれば、子供への対応や指導の質は向上すると思うか」との問いには、約8割が「大きく向上すると思う」(15.3%)「ある程度向上すると思う」(63.0%)と回答。多くの保護者が、情報共有や記録管理が円滑になることで指導の質が向上すると考えていることが明らかとなった。
最後に、「教員の業務負担軽減につながる場合、保護者の視点から『簡略化・デジタル化してもよい』と思うものはあるか」と尋ねたところ、「紙でのプリント配布」(39.4%)がもっとも多く、「通知表のデジタル化(オンライン閲覧・電子化)」(37.7%)、「電話での欠席・遅刻連絡」(37.7%)、「家庭訪問や個別面談の簡略化・オンライン化」(25.8%)と続いた。保護者は、教員の業務負担軽減につながるのであれば、デジタル化や簡略化を求めていることがうかがえる。一方で、「家庭訪問や個別面談」は割合がやや低く、対面での関わりが重視される場面では慎重な姿勢も見られた。
今回の調査から、多くの保護者が教員の多忙さを実感し、それが教育や指導の質に影響することへの不安を抱いている実態が明らかとなった。保護者は教員に対し、事務作業ではなく生徒との対話や個別指導といった直接的な関わりにより多くの時間を割くことを求めている。そのための手段として校務のデジタル化(DX)への期待が高まっているといえる。教員の負担軽減につながるのであれば、日常的な業務におけるデジタル化には前向きな姿勢が見られる一方で、対面での関わりが重要とされる場面では慎重な意識も残っているようすがうかがえた。
調査は、2026年5月26日から29日の期間、私立中学校・高等学校に子供を通わせている保護者1,002人を対象に、インターネット調査「PRIZMA」を用いて行われた。モニター提供元はサクリサ。












