記憶のプラットフォーム「Monoxer(モノグサ)」を提供するモノグサは、第三者割当増資と株式譲渡を通じ、総額約18.5億円のシリーズCラウンドを実施したことを発表した。リード投資家である住友商事と資本業務提携を締結。調達した資金は、教育領域での展開に加え、企業の人的資本領域や新規事業への投資に充て、事業拡大を加速させる。
今回のラウンドでは、リード投資家の住友商事のほか、既存株主であるグローバル・ブレインも共同リードとして追加出資。同社が運営する東急建設、三井化学、ANAホールディングスのCVCからも出資を受けた。また、既存株主であるファーストライト・キャピタルからも追加出資を受け、事業成長を推進する体制を構築した。
モノグサは創業以来、「記憶を日常に。」をミッションに掲げ、Monoxerを開発・提供してきた。当初は学習塾や私立学校などの教育機関を中心に活用されてきたが、近年は教育DXやEBPM(証拠に基づく政策立案)の流れを背景に、公教育や自治体での導入も拡大している。また、人手不足やリスキリング需要の高まりを受け、企業における人材育成の領域でも活用が広がっているという。
調達した資金は、おもに(1)人的資本領域での展開、(2)教育領域での展開、(3)新規事業への投資、の3つの分野に充てる計画だ。
人的資本領域では、すでに資格取得支援やセールスイネーブルメント(営業力強化)で成果をあげており、今後は社内マニュアルなどから学習コンテンツを自動生成する仕組みの提供や、製造・建設現場における技能承継の事業開発を本格的に進める。各業界がもつナレッジやデータと、同社が培ってきた記憶のノウハウを組み合わせ、これまで継承が難しいとされてきた知識や暗黙知を誰もが学べる形に変えることに挑戦する。
教育領域では、公立学校で学習履歴データを活用した個別最適化や教員の業務効率化に貢献。私立学校や塾では、進学や資格取得を見据えた学習支援ツールとして導入が広がっている。今後も自治体や教育機関との連携を強化し、GIGAスクール構想の深化に資する形で、公教育と民間教育の両面で活用を広げていく。
新規事業では、すでにリリース済みの未就学児から低学年向けの「Monoxer Junior」に加え、大学生向けに学習とキャリアを結びつける新サービスのリリースを予定。社会人が自らの意思でスキルを高め続けられる仕組みも提供していく。これにより、学齢期から社会人に至るまで「生涯にわたり学び続けられる環境」の実現を目指す。
今回の資本業務提携や出資に際し、各社の担当者からコメントが寄せられている。
住友商事 ライフスタイルグループ リテイルSBU長 山元淳平氏は「当社が展開するサミット・トモズなどの小売事業においても、他業界同様、人手不足という社会課題に直面しています。モノグサが有するAIを活用した記憶定着アプローチは、現場で求められる人材の早期戦力化・生産性向上に貢献するものと期待しています。今回の提携を通じて、モノグサが有する知見・技術と当社の事業運営ノウハウを融合し、小売業界の課題解決に繋がるソリューションの共同開発・価値創出に取り組みます」と述べている。
グローバル・ブレイン Investment Group Partner 吉尾未来氏は「変化の激しい時代において、学び続けることは個人と組織の成長を支える原動力です。記憶という学びの根幹を支えるモノグサは、より良い人生を実現する生涯のパートナーとして、今後ますます社会に深い価値を届けていく存在になると確信しています。リード投資家として、引き続きその挑戦に伴走できることを心からうれしく思います」とコメントしている。
ファーストライト・キャピタル ベンチャー・パートナー 麻生要一氏とアソシエイト 鈴木絢理氏は「モノグサが創業した2016年から、すべての資金調達ラウンドで支援をさせていただき、本ラウンドも継続出資の機会をいただき、大変光栄です。『Monoxer』は記憶のプラットフォームとして教育現場での圧倒的な支持を基盤に、近年は企業での活用へと活躍の場を大きく広げています。今回の資金調達が、創業以来のミッションである『記憶を日常に。』の実現をさらに加速させるものと期待しております。引き続きモノグサの更なる成長に貢献して参ります」と寄せた。








