NTT東日本、Minerva University(以下、ミネルバ大学)、ミネルバジャパンは、次世代のグローバルリーダー育成を目的とした新たな教育モデルを共創するため、連携協定を締結した。三者は本協定にもとづき、日本各地での実体験と生成AIなどの最先端テクノロジーを掛け合わせた実践的な教育モデルを構築し、より良い未来を創るリーダーの育成を推進する。
NTT東日本は「地域循環型社会の共創」をパーパスに掲げ、ICTで地域課題の解決に取り組んできた。一方、ミネルバ大学は、国連関係機関から4年連続で「世界でもっとも革新的な大学」に選出され、在学中に世界複数都市を巡りながら現地の組織と協働するプロジェクト学習を特徴とする。今回の連携は、地域に密着したNTT東日本の現場力と、ミネルバ大学の世界最先端の教育メソッドを融合させ、日本を起点としたグローバルリーダー育成に貢献することを目的としている。

冒頭、NTT東日本 代表取締役社長の澁谷直樹氏は、同社のパーパスである「地域循環型社会の共創」に触れ、防災や一次産業、文化継承といった地域課題の解決にICTを活用してきた実績を紹介。
今回の連携については、「今回の連携でもっとも重要な目的は、これからの未来を担う社会イノベーションを起こせる人材、社会起業家を育成すること。具体的な取組みとして、まずは岩手県釜石市を舞台に、防災・復興を学ぶプログラムを提供する」と直近の方針を発表。
「私自身、東日本大震災の際に福島で復興に携わった経験から、課題を解決する科学的アプローチだけでなく、地域の方々の心や伝統を理解し寄り添う人間的なアプローチが不可欠だと痛感している。学生たちにはそうした実社会の現場に飛び込み、プロジェクトを通じて主体的に学んでほしい。この協定はクローズなものではなく、得られた教育モデルや成功事例は、日本中の企業や大学、世界の方々とオープンに共有。社会全体にコレクティブなインパクトを生み出すことで、本当の意味で持続可能な社会づくりに貢献できる人材育成を目指したい」と、今後の展望を語った。

続いて登壇したミネルバ大学 学長のマイク・マギー氏は、NTT東日本が目指す社会像とミネルバ大学のミッションが同じ方向を向いていることが協定締結につながったと説明し、「NTT東日本は非常に理想的なパートナー。今回の連携により、日本の多様な社会課題をテーマにした、より没入感のある学習体験を学生たちに提供できることを大変嬉しく思う。未来を築くためには『適切な問いを立てる力』が不可欠であり、このプログラムを通じてそうした力を育んでいきたい」と期待を寄せた。

今回の取組みでは、ミネルバ大学が展開する実社会課題にもとづく学習プロジェクト「Civic Projects」とNTT東日本が連携し、日本各地をフィールドとした実地学習を共同で設計する。第一弾の岩手県釜石市での防災・復興プログラムを皮切りに、NTT東日本がもつ多様な地域とのつながりを生かしたフィールドプログラムを提供していく計画だ。テクノロジー面では、生成AIを活用した探究的な学びを支援する次世代教育モデルの開発・実証も共同で実施する。NTT東日本は、ローカル5GやAI開発環境を備えた「NTTe-City Labo」などの場を提供し、学生たちが社会課題解決に向けた研究開発・プロトタイピングを行える環境を整備。グループ内の専門家や研究機関との連携も推進する。
これにより、「理論と実践を往還しフィールドで課題解決を成し遂げる人財」を育てる構えだ。そしてこの教育プログラムを、日本初の新たな教育モデルとして世界へ展開していく考えだという。
三者は今後、全国の教育機関や自治体との連携を広げ、日本全体を学びのフィールドとしていくことを目指す。この取組みを通して、日本の豊かな地域資源を世界最高水準の教育と結びつけることで、複雑な社会課題に主体的に向き合う次世代リーダーの育成が期待される。