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文科省、スクールロイヤーへの相談体制充実を…手引き・調査結果公表

 文部科学省は2025年8月29日、教育行政に係る法務相談体制の充実についてWebサイトに掲載した。虐待やいじめ、学校事故などについて初期対応から弁護士(スクールロイヤー)へ相談できるよう、法務相談体制の構築・充実に役立てられる手引きや調査結果等を公表している。

教育行政 文部科学省
教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引き(第3版)
  • 教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引き(第3版)
  • 目次
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  • スクールロイヤーに相談できる体制の有無
  • 都道府県教育委員会が配置するスクールロイヤーの市町村等活用可否

 文部科学省は2025年8月29日、教育行政に係る法務相談体制の充実についてWebサイトに掲載した。虐待やいじめ、学校事故などについて初期対応から弁護士(スクールロイヤー)へ相談できるよう、法務相談体制の構築・充実に役立てられる手引きや調査結果等を公表している。

 虐待やいじめのほか、学校や教育委員会への過剰な要求や学校事故への対応など、教育現場において法務の専門家への相談を必要とする機会は増加している。特に、学校現場では事案が訴訟などに発展してしまう前に、初期対応の段階からもっぱら教育行政に関与する弁護士(スクールロイヤー)に予防的に関わってもらうことで、速やかな問題解決や教職員の負担軽減が期待される。

 2020年度(令和2年度)からは、都道府県および指定都市教育委員会における弁護士への法務相談経費について、普通交付税措置が講じられている。あわせて、日本弁護士連合会の協力のもと、各教育委員会において法務相談体制を構築するうえでの留意点や、具体的な弁護士との連携事例の紹介などを盛り込んだ手引きを作成。順次改訂を行っており、今回は第3版となる。

 手引きでは、法務相談体制の構築事例集および、弁護士に依頼できる業務内容「助言業務」「代理業務」「保護者等との面談への同席」「研修」「出張授業」ごとの事例集を別紙として掲載、相談内容や弁護士の助言などを詳しく紹介している。

 2024年8月に実施した「教育行政に係る法務相談体制の整備等に関する調査(令和5年度)」では、スクールロイヤーに相談できる体制がある自治体は、都道府県・指定都市で87.2%、指定都市95.0%、中核市71.0%、市町村等13.7%と、いずれも前年より増加している。スクールロイヤーを配置していないのは、岩手県、秋田県、福島県、石川県、山梨県、奈良県の6自治体となった。

 教育行政に係る法務相談体制の充実についてまとめたページでは、学校・教育委員会と弁護士とで相互理解を深めるワークショップ型研修についても紹介。学校・教育委員会と弁護士がお互いの専門性を学びつつ相互理解を深めることができるよう、事例をもとに意見交換を行うワークショップ型の研修を推奨しており、実施の際に参考となる資料やワークシート、研修の具体的な流れ等を紹介した解説動画も掲載している。

《中川和佳》

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