学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第223回のテーマは「教師が威圧的」。
学校の忙しさが教師の精神面に影響
このテーマは一度以前にも扱ったことのあるものです。「教師が威圧的」というテーマは、「通学と教員」についで、よく読まれているテーマです。親にとって、教員にとって、気になっているテーマなのだと思います。
年々、学校に余裕がなくなってきている印象があります。学校が忙しくなることは、教師のメンタルヘルスにも大きく影響を与え、そのことが直接的、間接的に子供の学びへ影響を与えています。ニュースなどで「教員の欠員」「教採の倍率低下」などが報道されています。さまざまな理由から教員の欠員が補充できていない状況は、学校全体のパフォーマンスに大きく影響を与えます。1人欠員であれば、その分を他の人がフォローしているはずです。そうやって学校の中でやりくりしています。そういったものも短期間であれば、持ち堪えることができるのかもしれません。しかし、中期から、長期に渡って、そういった状態が続くことは、ボディーブローのように効いてくるのだと思います。欠員の人数が、2人、3人という学校もあると聞きます。さらに厳しいことが想像できます。
2024年に文科省が公表した「教員勤務実態調査」では、教員の7割から8割が睡眠不足を感じていたり、睡眠の質に問題を抱えていたりしているという結果になっています。睡眠は、ストレスホルモンである「コルチゾール」の調節に関与しており、ストレスの軽減に役立っています。適切な睡眠が、心理的な安定性を促進しており、ストレス耐性を高め、感情のコントロールが容易になります。逆に、睡眠が不足すると、イライラや不安の増大、うつ症状のリスクを高める可能性があります。
学校の忙しさが教師のメンタルヘルスに大きく影響を与えていると言えます。教師が睡眠不足であれば、ちょっとしたことでも怒りやすくなってしまいます。そういったことが続いている状態では、子供の学びの質にも大きく影響を及ぼしていると考えられます。
学校に余裕がない場合は、行事の精選を
学校としては、余裕の無い状態(たとえば、欠員があるような状態や経験年数の少ない教員が多い場合など)では、大胆に行事の精選などに取り組んでいくべきだと私は考えています。学校という組織は「例年通り」が好きな組織です。ただ、現在の学校の置かれた状況は、連年通りに取り組めるような状況ではないのだと理解すべきでしょう。今まで通りのプログラムに取り組んでいこうとする中で、さまざまなトラブルが発生します。マンパワー不足や準備不足などによるものです。トラブルが発生すると、今度はそのトラブルの対応に手間がかかります。そのように色々なものが後手になっていき、全体としては、後ろ向きな感じとなってしまいます。
行事の精選などは、学校(学校長)の判断だけでできるものも多いです。無理に連年通りに取り組むことで、結果として自分たちを苦しめている状況を考えれば、そのままに取り組むことはある意味「悪手」なのだと思います。しっかりと現状を踏まえ、今、目の前にいる、子供、教職員とより良い学校を作り上げるには何が必要で、何を捨てるべきなのかをきちんと考える時期にあるのだと思います。特に「何を捨てるのか」がとても大事になってきます。勇気を持って「捨てる」ことが大切でしょう。
本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。
質問をする