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【クレーム対応Q&A】隣のクラスと指導方法や進度が違う

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第194回のテーマは「隣のクラスと学習進度や指導方法が違う」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第194回のテーマは「隣のクラスと学習進度や指導方法が違う」。

事前の説明が重要

 自分の子供のクラスでの取組みが隣のクラスと違っていることなどに関して、保護者から学校に問い合わせが来ることがあります。そういった場合、多くのケースでは「隣のクラスと同じレベルでできていないのはおかしいのではないか」というものです。

 まず、クラスの規模に関して法的には次のようになっています。学校の規模に関して、学校教育法施行規則第41条では「小学校の学級数は12学級以上18学級以下を標準とする」とされています。小学校では1つの学年が2クラスから3クラスを標準とするということになります。1クラスの人数が少ないことによるデメリットなどを踏まえ、適切な人数になることを文科省は推奨しています。クラスの人数が少ないことによるデメリットとしては、多様な考えや意見を出し合い互いに学び合うという経験がしづらい、互いの評価が固定されやすく競争心や向上心が育ちにくい、集団での学習活動が必要な体育、音楽、特別活動などで効果的な学習がしづらいなどがあります。

 実際に学校の規模を決める際には、設置者(市区町村)の考えが強く反映されます。市区町村の財政面も関係をしてきます。学校が無くなることにより地域のコミュニティが疎遠になっていくことが多いです。そういったことを踏まえ、人数が少ない状態での学校を存続させている自治体もあります。人数の少ない学校では、学年1クラスやさらに人数が少ないと複式学級(複数のクラスをまとめるやり方)というやり方になります。

より良い教育実践に努める

 今回のテーマである「隣のクラスと取組みに違いがあること」に関しては、事前の説明が重要になると私は思っています。同じ学校の同じ学年であったとしても、すべての取組みがまったく同じになる訳ではありません。同じ教科書を使っていたとしても、そこにいる教員も、子供も違います。クラスが違えば、取組み方に違いが生じる部分が出てくる場合もあるでしょう。そういったことを学校が適切に伝えていくことが必要なのだと思います。

 今回のテーマの想定は、初任などの若い教員が同じ学年の他の中堅、ベテランの教員と比べて適切に取り組めていないのではというものです。色々な学校でよく生じている状況だと思います。ただ先ほども書いたようにそれぞれのクラスで違いがあります。若い教員は若い教員なりの良さ(強さ)があります。そういったものが発揮できるような状況を作り上げていくことが学校として大事なのだと思います。具体的にはGIGA端末の活用などについては、若者の方が慣れていますし、良い取組みができることも多いです。若い教員だけでなく、すべての教員がその教員の良さを発揮できる状況が望ましいです。

 もちろん、今回のような問い合わせが来るということは、その状況に関して保護者が何らかの不満や不安を抱いていることが多いです。そういった不満や不安を抱かせる状況にならないように、教師はしっかりと教材研究や自己研鑽を行い、より良い教育実践ができるように努めていくのはもちろん大切でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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