あべ俊子文部科学大臣は2025年4月1日、記者会見を行った。会見では、多子世帯の高等教育費を支援する「大学等における修学支援に関する法律の一部を改正する法律」の成立や、地域大学振興室の設置のねらいなどについて説明した。
参議院本会議において「大学等における修学支援に関する法律の一部を改正する法律案」が2025年3月31日に可決され、成立した。この改正により、多子世帯の学生を対象に、所得制限なく大学等の授業料・入学金が無償化されることとなった。文部科学省は、制度の周知と高等教育費の負担軽減に取り組む方針だ。
同日、2025年度予算が国会審議を経て成立した。予算には、教職員定数の改善や教師の処遇改善をはじめ、教育、科学技術・イノベーション、スポーツ、文化芸術の各分野の振興に必要な予算が盛り込まれている。特に、高校無償化に関わる支援金の支給については、収入要件が事実上撤廃され、全世帯を対象とする増額修正が行われた。文部科学省所管の一般会計予算は、前年度比1,709億円増の5兆5,094億円となった。今後は、予算の着実な執行に向けて取り組んでいくという。
東京学芸大学附属大泉小学校で2023年に発生したいじめ問題について、第三者による調査報告書が公表された。報告書では、担任がいじめ対応を1人で抱え込み、管理職への報告が遅れたこと、法や学校いじめ基本方針が遵守されていなかったことが指摘された。文部科学省は、いじめ重大事態の調査に関するガイドラインを改訂し、各学校に対していじめへの備えを確認する通知を行っている。今後も適切な対応を促進する方針だ。
また、4月1日付で文部科学省は高等教育局に「大学振興課」と「地域大学振興室」を新設した。地域大学振興室は、地域の高等教育へのアクセス確保や地方創生の取組みを推進する役割を担う。さらに、科学技術・学術政策局に「国際研究開発政策課」を新設し、国際共同研究の推進や研究セキュリティの強化を図る。これらの組織改正は、文部科学行政の重要課題に対応するためのものであり、新たな組織のもとで引き続き取り組みを進める。