明日香が実施した「保育士の行事業務の負担に関する定点実態調査」によると、保育士の精神的負担が大幅に増加していることが明らかになった。94.6%の保育士が行事業務に対して精神的負担を感じていると回答した。特に「かなりある」と答えた割合は55.0%で、前年から17.9ポイント増えている。
この調査は、IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー」によるインターネット調査で2024年12月27日から28日に行われた。対象は、イベントや行事を行う保育施設に勤める保育士、幼稚園教諭、保育教諭111名。調査の背景には、コロナ禍の収束にともなう通常運営の回復があると考えられる。これにより、保育士の人手不足や業務過多が重なり、職場環境に影響を及ぼしているとみられる。調査結果によれば、保育士の業務全体に占める行事業務の割合が増加しており、約7割の保育士が「30%以上」と回答している。
行事業務の精神的負担の具体例として、「休日も仕事のことを考えていた」が64.8%で最多となり、「行事のための練習が多く、行事のための保育になってしまっている」が53.3%と続いた。また、身体的負担についても「残業や持ち帰り仕事があった」が65.6%で最多となり、「休憩時間を削って準備を行った」が63.4%と、前年から32.6ポイント増加している。
さらに、園児ひとりひとりに向き合った保育が実現できていないと感じる保育士は31.5%にのぼり、そのおもな理由として「保育士の人手が足りないから」が80.0%、「業務が多いから」が71.4%と指摘されている。これに対し、「行事手当」などの待遇改善があれば、92.9%の保育士が「行事に対する意欲は向上する」と回答している。
今回の調査結果は、保育士が抱える行事業務の負担が増加している現状を浮き彫りにした。行事は子供たちにとって大切な思い出となる一方で、保育士の負担軽減や待遇改善が求められている。保育の質向上のためには、行事そのもののあり方や方法を見直し、保育環境の改善を図ることが急務となっている。