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【相談対応Q&A】学校へメールで連絡をしたい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第212回のテーマは「学校へメールで連絡をしたい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第212回のテーマは「学校へメールで連絡をしたい」。

学校と家庭の相互理解が大事

 子供のより良い育ちのためには、学校(教員)と家庭(保護者)である程度同じ方向を向くことが大事とされています。自動車に例えられることもあり、子供が自動車だとすると、親と教員はそれぞれ、右と左のタイヤだとされます。同じ方向を向き、同じ速さで回ることが車をスムーズに進むためには大事です。子供の育ちに関しては、完全に方向性が一致する訳ではないかもしれませんが、基本的には同じような考え方を持っていることが大事でしょう。

 そういった際に大事になるのが「情報交換」です。互いの考えを伝えることで相互理解ができるようになります。学校に寄せられるクレームに関する研究では「クレーム」の前の段階として「相談」があり、さらにその前の段階として「質問」があるとされています。教員と保護者が関わる中で、質問などに答えたり、相談にのったりすることなどの中で、大きな意見の対立である「クレーム」まで至ることなく、対応ができていくのだと思います。

 こういったことが行われるためには気軽に連絡を取ることができる環境が望ましいです。コロナの流行前は、対面で会う機会もたくさんありました。それが良いのか悪いのかは別として、行事などが精選され、保護者が学校に来て、教員と会う機会が減りました。

 また、最近は学校の働き方改革などと関連し、時間外は「留守番電話での対応」となっている学校も増えています。確かに学校に対して夜遅くにあまり緊急でない電話を掛けてくる人がいたのも事実です。そういったことへの対応と考えると良いことでもあるのですが、きちんとした連絡を取りたいと思っている保護者からすると連絡の機会が制限されることでもあります。

メールアドレスを公開することで多くの情報が入ってくる

 学校と家庭の連絡に関して、現状では「メール」が最適なのではと私は考えています。一般的に使われている「電話」での連絡は、いくつかの手間が生じます。授業中であれば、保護者が学校に連絡をしたとしても担任には繋げられず、管理職や事務職員などが一時受ける形となります。また、学校から保護者へ連絡する際も、仕事をしている人も多く、電話を受けることができないタイミングもあります。

 学校のホームページなどを見ていると、連絡先のメールアドレスが見当たらないところもあります。電話とファックスの番号が示されているだけです。一度、この件(なぜ学校のアドレスを連絡用に公開していないのか?)について、公立学校の校長に聞いてみたことがあります。その校長は、そんなことをしたら、色々な連絡が入ってきてしまい大変なことになってしまうという答えでした。私はその考えとは少し違う立場です。間口を広げることでたくさんの情報が入ってくるようになります。変な情報(セールスや悪戯など)も入り込んでくる可能性はありますが、大切な情報を拾うこともできるようになる可能性があります。電話は掛け難いけれども、メールなどであれば、書きやすいというようなこともあるでしょう。そういったことをしていくことで、はじめに書いたように学校(教員)と家庭(保護者)が連携をして、子供の育ちを見守っていくことにつながっていくのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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