文部科学省は2024年12月27日、「給食無償化」に関する課題の整理について発表した。全国の自治体における給食無償化の取組実態や成果・課題を調査し、1年以内にその結果を公表する予定である。これにより、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等の課題を整理し、具体的な方策を検討する。
給食無償化は、子育ての経済的・精神的負担感や不公平感を軽減するための施策として注目されている。2023年9月1日時点で、全国1,794自治体のうち722自治体が独自に給食無償化を実施している。そのうち547自治体では、すべての小中学校の児童生徒を対象に無償化を行っている。財源としては、自己財源を用いる自治体が多く、ついで地方創生臨時交付金やふるさと納税、都道府県からの補助が利用されている。
給食無償化の目的として、9割を超える自治体が子育て支援を掲げている。少子化対策や定住・転入促進を目的とする自治体も約1割存在するが、食育の推進を掲げる自治体は5%未満にとどまっている。無償化の成果目標を設定している自治体は97で、無償化実施自治体の13.4%に過ぎない。また、成果検証・評価を実施する自治体は「実施済」「実施予定有」を合わせても119で、無償化実施自治体の16.5%にとどまっている。
学校給食の歴史は、1889年に山形県鶴岡市の私立小学校で貧困児童への就学奨励を目的に始まった。戦後、1946年に全国の児童を対象に給食が再開され、1954年には学校給食法が制定された。以降、給食の普及充実や食育の推進が進められてきたが、経済的困窮世帯への支援は依然として課題であるという。
給食無償化の実施にあたっては、学校設置者と保護者が協力して経費を分担することが求められている。施設設備費や職員給与費は公費負担とされる一方、食材費は保護者負担とされている。ただし、自治体等による補助を妨げるものではない。
今後、給食無償化の課題整理が進むことで、より多くの自治体が無償化を実施し、子育て支援や少子化対策に寄与することが期待される。自治体ごとの成果評価や目標設定が進むことで、給食無償化の効果をより具体的に把握し、改善策を講じることが可能となるだろう。