財務省が提案した公立学校教員の教職調整額をめぐる改善案に対し教育関係23団体は「今まで以上の負担を学校や自治体に負わせようとするもの」と懸念を示し2024年11月15日、阿部俊子文科相に緊急声明を手交した。
財務省の提案は、公立学校教員の残業代の代わりに給与の一定割合を支給する「教職調整額」を働き方改革の進捗を条件に現行の4%から段階的に10%へ引き上げるとしたもので、文部科学省が求める教職調整額の13%引上げに対しては安定財源が示されていないなどと反論。教員の定数については、1989年(平成元年)以降の推移から「児童生徒あたりの教職員定数は増えていないわけではない」などと定数増に消極的な内容となっている。
この提案に対し、全国の校長会や教職員団体などで構成される教育関係23団体(子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会)は、教職員定数の改善など国の支援なく時間外在校等時間の削減を求めるものであり、複雑化する現在の学校実態を考慮しておらず「非現実的」と批判した。
教職員定数や支援スタッフの改善も行わないという財務省の提案について、全国連合小学校長会の植村会長は「今まで以上の負担を学校や自治体に負わせようとするものであり、教師が充実した教育・指導を行えなくなることは明白」と指摘。「学校教育の崩壊を招くことにつながる」との懸念を示した。
阿部俊子文科相も財務省案に対して「実現性に乏しく、子供たちや学校への支援という視点に欠ける内容である」としたうえで、教育23団体に対し「学校を支える国としての財政的な支援についてもしっかりと対応していきたい」と述べた。文部科学省はすでに教職職調整額の引き上げなどによる教師の職責にふさわしい処遇の実現や時間外在校等時間の縮減のための教職員定数の改善などに必要な予算を要求している。
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