教育業界ニュース

自由な発想を育む「VIVISTOP NITOBE」、iPad+αで変わる体験

 新渡戸文化学園に開設されている「VIVISTOP NITOBE」。この大人と子供の共創の場で、iPad の使用をサポートするRugged Combo 3とロジクール Crayonの使用感について、VIVISTOP NITOBEクルーのヤマウチさんと、小学生の2名の利用者、学生クルーの計4名に話を聞いた。

教材・サービス 授業
PR
取材に応じてくれた皆さん
  • 取材に応じてくれた皆さん
  • 向かって左から順に、小学5年生のアンリさん、山内佑輔氏、小学6年生のミキさん、VIVISTOP NITOBE学生クルーのアユミさん
  • VIVISTOPでは大人も子供と対等に話しあい、意見を交わす
  • 取材日の前日に「スイッチで何か作ろう」という話になり、秋葉原まで材料を購入しに行ったという
  • 自作のアームウォーマーをつけて見せてくれた
  • 学生クルー、アユミさんの作品
  • アンリさんは座談会中、iPadでヤマウチさんとしりとりをして楽しんでいた。活動内容を押し付けられない環境だからこそ「その時やりたいこと」が湧き上がってきて実行に移せるのだろう
  • iPadは道具としての選択肢のひとつ

 新渡戸文化学園には大人と子供の共創の場「VIVISTOP NITOBE」が併設されている。ここでは、年齢や立場などの垣根を超え、大人も子供もものづくりの仲間として連携し、体験を共有しているという。

 VIVISTOPは、「今を生きる誰もが、より良い未来に向けて行動できる社会」を目指して設立されたコミュニティだ。その使命は、「子供たちが自由に創造できる場を地域と共につくること」、そして「子供と大人が共に創造する活動を広げ、未来を切り開く仲間を増やすこと」にある。この理念に賛同した人々が各地で主体的にVIVISTOPを立ち上げており、現在、世界7か国に広がり、日本にはVIVISTOP NITOBEを含む4拠点が存在している(2024年9月現在)。

 VIVISTOP NITOBEは、新渡戸文化学園を主体として設立され、学園の敷地内に開設された施設を拠点に、子供たちが自由に創作活動に取り組むことができる場だ。創作活動におけるツールとしてiPadも活用されており、最近、Logicool(ロジクール)のiPad用のキーボードケース「Rugged Combo 3」とデジタルペンシル「Crayon」が導入された。

 Rugged Combo 3は、iPadを衝撃や破損から守るキーボードケースで、ショートカット機能が搭載された取り外し可能なキーボード、調節可能なキックスタンドを備えている。Smart Connector経由でiPadから給電するため、充電が無くなる心配もなく、iPad本体と別々に充電するといった手間もかからない。一方、CrayonはiPadに対応したデジタルペンシルで、高い汎用性とピクセルレベルの精密さが特徴だ。パームリジェクション機能により、手が画面に触れても誤操作が起きることがなく、1回の充電で最大7時間使用でき、ペアリングの必要がなく近づければすぐに使用できる点など、iPadをより便利にストレスフリーで使用できるツールとして評価されている。

 iPad の使用をサポートするRugged Combo 3とCrayonの使用感について、VIVISTOP NITOBEクルー、小学生の利用者2名、学生クルーに話を聞いた。



【話を聞いた人】
ヤマウチさん:VIVISTOP NITOBEクルー
ミキさん:小学6年生(右から2番目)
アンリさん:小学5年生(左)
アユミさん:VIVISTOP NITOBE学生クルー



大人と子供は対等。共に世界をつくる「共創の場」

--VIVISTOP NITOBEとはどのような空間なのでしょうか。

ヤマウチさん:VIVISTOP NITOBEは、2020年9月に新渡戸文化学園を拠点として発足しました。この場所は、共通の意図をもった人が集まるのではなく、集まった後にそれぞれが何をするかを自分で決めることができる特別な空間です。

 日本では、大人が子供を教育し、守り育てるという意識が特に強いと感じますが、VIVISTOPでは大人も子供と対等なパートナーであると捉えています。ここは、大人と子供が共に世界を創りあげる「共創の場」なのです。この部屋に置いてある椅子も、大人と子供が一緒になってデザインし、作ったものです。

 新渡戸文化中学校・高等学校では週に1度、時間割がなく、自分のやりたいことに取り組める日(クロスカリキュラム)があり、生徒はそれぞれ「プロジェクト」に取り組みます。その時間にはVIVISTOP NITOBEがプロジェクトの場のひとつとなります。また、平日の放課後には、小学4年生以上の新渡戸文化学園の生徒が利用できるほか、土曜日にはオープンデーとして開放しています。予約をすれば、新渡戸の生徒でない子供たちも無料で利用することができます。ちなみに、今日参加しているミキさんとアンリさんも、新渡戸生ではありません。

ミキさん:私はイベントでたまたまVIVISTOPに行くことになり、みんなが楽しく作ったり話したりしていたので私もやりたいと思い、その日に入りました。ここでは、お話ししながら絵を描いたりするのが楽しいです。

アンリさん:私は姉がイベントでVIVISTOPを知って、「楽しそうだよ」と教えてくれたのがきっかけで通っています。

VIVISTOPでは大人も子供と対等に話しあい、意見を交わす

充実した創作環境から「つくりたい」が生まれる

--どのような活動が行われているのでしょうか。

ヤマウチさん:VIVISTOPは確かにものづくりの場でもありますが、子供たちに「何か作らなければならない」という強制力を与える場所にはしたくないと考えています。むしろ、人と出会い、居心地の良い場所だと感じてもらえたら嬉しいですね。実際に、小学4年生から大学生まで、ときには親も合流して、ものづくりをするだけではなく、ただおしゃべりをしたり、ランチを持ち込んで食べたりする場としても利用されています。

 もちろん、ものづくりを楽しめる環境は整っています。ドリルや電動ノコギリ、ミシン、レーザーカッター、3Dプリンター、シルクスクリーン・プリンター、製本機など、さまざまな工具や機材が自由に使えます。材料も豊富で、アクリル板や木材、レザーなど、私の知人が寄付してくれた素材もあります。ものづくりには最高の環境だと思いますが、私自身や他のスタッフは、立派な作品を完成させることをゴールにしていません。「気が変わったら、完成させずに別のものを作り始めてもまったく問題ない」という姿勢を大事にしています。

 普段はそれぞれが好きなことをしているのですが、思いつきでプロジェクトが発生することもあります。現在は、秋葉原で購入したさまざまな「スイッチ」を使って何かを作ろうという話が出ており、取り組んでいる最中です。

取材日の前日に「スイッチで何か作ろう」という話になり、秋葉原まで材料を購入しに行ったという

アンリさん:私は最近、画用紙でおにぎりを作ることにハマっていて、色んな具材を考えながら20個くらい作りました。

ミキさん:私は、サイズアウトした長袖の袖を切って、アームウォーマーを作りました。

自作のアームウォーマーをつけて見せてくれた

アユミさん:私は高校2年生からVIVISTOPに通っています。ここにあるツールはほとんどすべて試しました。アクリルスタンドやレジンを使ったピンバッジ、3Dプリンターで作った木彫りのキーホルダーなど、作品も増えて嬉しいです。

 家とは違い、VIVISTOPなら部屋が汚れることを気にせず、のびのびと創作できますし、授業と違って「いつまでに完成させないといけない」といったプレッシャーもありません。何度失敗しても、また素材を使わせてもらってやり直せるので挑戦しやすく、ものづくりのストレスがありません。高校を卒業してもVIVISTOPは卒業したくないと思い、今はアルバイトの学生クルーとして参加しています。

学生クルー、アユミさんの作品

ヤマウチさん:昨年は新渡戸文化中学生の「クロスカリキュラム」の授業枠で始まった活動から、「ファッションラボ」が生まれました。各自がファッションコンセプトを作り、模型制作から実際の洋服作り、そしてファッションショーの開催まで、大規模なプロジェクトとなりました。中にはその延長で自分のファッション雑誌を作った子もいます。子供たちの「つくりたい」「やりたい」という思いがどんどん形になっていくようすを見ているのは、とても楽しい体験でした。そのプロジェクトから派生して、土曜日のオープンデーに参加している小学生と保護者による「自分のブランドを作ろう」というプロジェクトも実施しました。

iPad体験を支えるRugged Combo 3とCrayon

--まさに共創が生まれているのですね。VIVISTOP ではiPadも活用されているそうですが、具体的にどのような使い方をしていらっしゃいますか

ヤマウチさん:現在、VIVISTOP NITOBEにはiPadが5台あり、ほかのツールと同様に子供たちが自由に使えるようにしています。VIVISTOPのコンセプトに基づき、私たちが「今日はiPadを使った活動をしよう」と提案することはありませんが、毎日誰かが触れていますね。多くの子供たちが家や学校でもiPadを使っていると思います。

アンリさん:私は作文や読書感想文を書くときにiPadを使っています。iPadだと鉛筆のように手が汚れることもなく、文字数も表示してくれるのが便利な点です。

アンリさんはiPadでヤマウチさんとしりとりをして楽しんでいた。活動内容を押し付けられない環境だからこそ「その時やりたいこと」が湧き上がってきて実行に移せるのだろう

ミキさん:私は5年生のときに、おばあちゃんにiPadを買ってもらい、家でも使っています。最近はアナログよりもデジタルで絵を描くことが多くなりました。アナログだと失敗したときに消し跡が残ってしまいますが、デジタルなら簡単にもとに戻せるのが便利だなと思っています。

アユミさん:VIVISTOPでは、描いた絵をプリントアウトして、ラミネートもできます。そうした操作もiPadなら直感的にでき、使い勝手が良いですよね。

ヤマウチさん:絵の具で描くほうが好きという子もいますし、あくまでiPadは道具としての自由な選択肢のひとつ、と捉えています。iPadでは簡単にキャラクターの画像などを検索してプリントアウトすることもできますが、子供たちはオリジナルをそのまま使うのではなく、それを見ながらiPadを使って模写にチャレンジするなど、自分ならではの制作活動を展開してくれています。新しいツールから新しいものづくり体験が生まれるのを見ると嬉しくなります。

iPadは道具としての選択肢のひとつ

--数か月前から、Rugged Combo 3とCrayonを使っていただいていますが、使い勝手はいかがでしょうか。

ヤマウチさん:これまでiPadは裸のままで使っていましたが、Rugged Combo 3は頑丈で、高い耐水性と防塵性もあるので、装着するのとしないのとでは、安心感がまったく違いますね。Crayonは子供たちのほうが違いを感じていると思います。

ミキさん:家で使っているペンシルに比べて、Crayonはペン先が消耗しなくて、細くて描きやすいです。充電しながら使える点や、机に置いても転がらない点も気に入っています。あと、私はiPadを使っているとき猫背になりやすいのですが、Rugged Combo 3は後ろにスタンドが付いていて良いと思います。

CrayonとRugged Comboの使いやすさやメリットを、ミキさんは私物の使用感と比べて語ってくれた

アンリさん:パソコンは重たいし、落とすと割れてしまいますが、iPadは軽いし、Rugged Combo 3をつけると丈夫で壊れにくそうです。Crayonも軽くて持ちやすいので好きです。

「Crayonは軽くて持ちやすいので好き」とアンリさん

アユミさん:普通のキーボードを使っていると、キーボードと机の段差のために手が痛くなってしまうのですが、Rugged Combo 3のキーボードの手前にはクッション性のあるアームレストがあり、手が痛くならないのがありがたいです。また、Crayonには手が当たってしまっても誤作動が起きないパームリジェクション機能があり、描画位置のズレがなくなる傾き補正機能があります。絵を描くうえでこれらの機能は本当に便利です。Crayonを使うことで描きやすさが向上し、作品の精度もあがったと感じています。Rugged Combo 3もCrayonも、あちこちに細かい気遣いが感じられて感動しています。

 また、私は鉛筆やペンの持ち方が特殊なのですが、Crayonは正しい持ち方をした方がしっくりくる形状になっているためか、持ち方が自然に矯正されていて驚きました。

Rugged Comboのアームレスト部分がお気に入りだというアユミさん

ヤマウチさん:十分な数のCrayonを常備できれば、たとえこれまでデジタルツールに馴染みがなかった子供たちであっても、慣れたペンによる直観的な操作ができるので「使ってみようかな」と思うようになるかもしれません。新しい選択肢に触れるハードルが下がるのではないかと期待しています。

--最後に、これからのVIVISTOP NITOBEの在り方や、展望といったあたりをお聞かせください。

ヤマウチさん:クルーは、大人と子供を分ける世界をなくしたいと考えています。VIVISTOPは自由な場ではありますが、「子供を自由にさせる場を、大人がつくる」というのも少し違うかなと思っています。あくまでも、大人と子供は同等の立場にあるのです。

 ですから、VIVISTOP NITOBEの空間の使い方だけでなく、iPad自体やCrayonなど周辺機器の使い方についても、大人が「こう使おう」と決めたり、「こうしたら良いよ」と提案したりすることはしません。それでも、子供たち自身が使い方を工夫して活用したことによって、創造の世界が広がっていると感じます。結果的に、子供達は「Rugged Combo 3とCrayonは家でも使いたい」と言うほど気に入っているようです。今回の話を通じて、子供たちもクルーも一緒になって、使い方や感想をシェアする機会となったことが良かったと感じています。

--ありがとうございました。


 多くの素材やツールに囲まれながらの取材中、ものづくりにワクワクしていた子供のころの気持ちを思い出し、「つくりたい」気持ちが刺激された。VIVISTOPでは、大人も子供も「つくりたい!」「何つくる?」のワクワクでつながるのだろう。なるほど、対等だと納得した。ロジクール製品とiPadの組み合わせによってどんな「つくりたい」が形になっていくのか楽しみだ。

ロジクール Crayon(教育用)
ロジクール Rugged Combo 3(生徒用)
《なまず美紀》

なまず美紀

兵庫県芦屋市出身。関西経済連合会・国際部に5年間勤務。その後、東京、ワシントンD.C.、北京、ニューヨークを転居しながら、インタビュア&ライターとして活動。経営者を中心に600名以上をインタビューし、企業サイトや各種メディアでメッセージを伝えてきた。キャッチコピーは「人は言葉に恋♡をする」。

+ 続きを読む

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top