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「子どもの権利」児童生徒と教員の意識に差…学校生活調査

 日本ユニセフ協会は2024年6月30日、「子どもの権利」に関する学校アンケートの結果を公表した。「体の健康」などで教員より児童生徒のほうが肯定的に捉えている一方、「心の健康」などで児童生徒の評価は教員ほど高くないなど、複数の項目で両者間に差がみられた。

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ユニセフ「子どもの権利」学校アンケート
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  • 「子どもの権利」学校アンケート:設問別 回答分布
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 日本ユニセフ協会は2024年6月30日、「子どもの権利」に関する学校アンケートの結果を公表した。「体の健康」などで教員より児童生徒のほうが肯定的に捉えている一方、「心の健康」などで児童生徒の評価は教員ほど高くないなど、複数の項目で両者間に差がみられた。

 調査「ユニセフ『子どもの権利』学校アンケート」は2024年1月~3月、兵庫県立大学環境人間学部 竹内和雄教授の協力のもと小学校4年生以上と中学校の児童生徒および教員を対象に実施。「子どもの権利」の視点から学校生活を自己評価するアンケートを行った。回答数は、小・中学校81校の児童生徒と教員の1万3,573件。

 アンケートを分析した結果、いくつかの分野において、児童生徒と教員との間に認識の差があることが判明。たとえば、「体の健康」「学校での学び」の分野では、教員よりも児童徒の評価の方が高く、子供たちの方がポジティブに捉えていることがわかった。「学校は運動しやすく、子供は十分に体を動かしている」の項目では、児童生徒の約40%が「とてもそう思う」と回答したのに対し、教員では20%に満たなかった。

 一方、「心の健康」「安心な環境」「意思表明」の分野では、児童生徒の評価は教員ほど高くなかった。「困ったときに、安心して相談できる大人が学校にいる」の項目で、「まったくそう思わない」「あまりそう思わない」と答えた児童生徒が10%程度みられたものの、教員では5%未満と少なかった。これは、学校で心の健康のためのサポートが十分ではないことを示唆している可能性があるという。

 竹内教授は、今回の調査について「『子どもの権利』に絞って調査したこと」と、「先生と児童生徒、双方に同じ質問をしたこと」について、画期的な調査と評価。先生の「つもり」と、児童生徒の「受け取り」は異なることがあって当然とのことから、今回の調査結果をこれからの教育活動に生かしていくことができれば、教育の流れを根本的に変えるだけのインパクトがあるという。

 今回のアンケート結果は、子供たちと先生が共に「子どもの権利」を正しく理解し、権利が実現される環境を一緒に作っていくための手がかりになると考えられるという。日本ユニセフ協会は、今後も竹内教授と連携しながら、アンケートをはじめ、研修やツールの開発などを通じて、「子どもの権利を大切にする教育」を推進していくとしている。

 なお、「ユニセフ『子どもの権利』学校アンケート」では、「教員と子どもの差」のほか、「校種と性別の差」などについても竹内教授の考察と共にまとめている。詳細は日本ユニセフ協会のWebサイトから確認できる。

《木村 薫》

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