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約半数の教員、学校で子供の権利教育を行っていない…セーブ・ザ・チルドレン

 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2022年4月19日、「学校生活と子供の権利に関する教員向けアンケート調査」の結果を発表。教員の、子供の権利の認知度や教育活動の実施状況等が明らかになった。

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「学校生活と子供の権利に関する教員向けアンケート調査」
  • 「学校生活と子供の権利に関する教員向けアンケート調査」
  • 子供の権利を知っていますか?
  • 子供の権利としてふさわしいと思う内容をすべて選んでください
  • あなたは、学校生活において子供の権利を尊重していますか
  • 普段、学校で子供と接する際にどのようなことを心がけていますか?
  • 直近の1年間で、子供たちに子供の権利を伝えるために、あなたの学級ではどのような取り組みをしていますか?
  • 子供の権利に関する授業を実施するにあたって、どのような難しさを感じていますか?
 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2022年4月19日、「学校生活と子供の権利に関する教員向けアンケート調査」の結果を発表。教員の、子供の権利の認知度や教育活動の実施状況等が明らかになった。

 調査は2022年3月11日~3月14日、全国の小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、外国人学校の教員を対象にインターネットにて行われた。有効回答数は468人。

 最初に子供の権利について尋ねたところ、「内容までよく知っている」教員は約2割であり、「まったく知らない」「名前だけ知っている」教員は、あわせて3割だった。「子供の権利の認知度」について高いとは言えない状況であることがわかった。

 次に「子供の権利の理解度」について調査するため、「すべての子供は、大人と同じように1人の人間であり人権を持っている」等、9つの項目について、子供の権利としてふさわしいと思う内容をすべて選択してもらった。

 その結果、子供の権利として正しく「子供は遊んだり、休んだりする権利を持っている」「子供は自分と関わりあるすべての事について意見を表明でき、その意見は正当に重視される」等の項目を選択した教員は、6割前後にとどまった。また、子供の権利としてふさわしくない内容の「子供は義務や責任を果たすことで権利を行使することができる」「子供は成長途上のため、子供に関する事はいかなる場合も大人が子供に代わり決めるよう推奨される」を選択した教員も、それぞれ約2割~3割程度みられた。

 「学校における子供の権利の尊重」について、子供の権利を「ある程度尊重している」と答えた教員は半数近くにのぼっていた。「子供の権利について考えたことがなかった」「あまり尊重していない・尊重していない」と回答した教員は合わせて6.2%みられた。

 「学校における子供の権利の尊重」について、実際に心がけていることを尋ねたところ、「子供が休んだり遊んだりする時間を確保・考慮している」「学級運営において子供の意見を聴き、その意見を取り入れている」「学校運営において、子供の意見を聴き、その意見を取り入れている」と回答した教員はそれぞれ8割程度みられた。しかしその一方で、それらの項目について「どちらともいえない」「あまり当てはまらない・当てはまらない」と回答した教員も2割弱程度みられた。

 さらに、「子供の権利教育の取組み状況」について、直近1年間で子供たちに権利を伝えるために行った取組みについて尋ねたところ、「特に何もしていない」との回答が約半数であった。「子供達が身近な権利について議論する等、授業で子供の権利をより深く学ぶ機会をつくった」「授業で教科書を読んで、子供の権利に関する内容を伝えた」等の取組みを行ったとの回答は、約2割にとどまった。

 最後に、「子供の権利教育の課題」について、子供の権利に関する授業を実施するにあたり、どのような難しさを感じているか尋ねたところ、「適切な教材がない」「教員が多忙で子供の権利について授業を実施する準備ができない」「子供に関心を持ってもらうのが難しい」との回答が多く、それぞれ3割を超えていた。今後、教員の負担を増やすことなく、子供が関心を持って取り組める教材の必要性が浮き彫りとなった。

 セーブ・ザ・チルドレンでは、このアンケート結果をもとに、今後子供の権利を学ぶ機会が保障されるよう、子供の権利の啓発活動や、子供の権利教材の開発・普及を進めていくとしている。
《木村 薫》

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