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国立大学協会「財務状況もう限界」未来に向け協働求む

 国立大学協会理事会は2024年6月7日、「ー我が国の輝ける未来のためにー」と題した声明を発表した。国立大学を巡る状況、とりわけ厳しい財政状況に関して、広く国民に理解してもらい、将来に向けての決意を示すととも実現に向けた力強い協働を求めている。

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国立大学の役割
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  • 国立大学を取り巻く財務状況の悪化
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  • 未来を創り出す人材の育成

 国立大学協会理事会は2024年6月7日、「ー我が国の輝ける未来のためにー」と題した声明を発表した。国立大学を巡る状況、とりわけ厳しい財政状況に関して、広く国民に理解してもらい、将来に向けての決意を示すととも実現に向けた力強い協働を求めている。

 すべての都道府県に計86校設置されている国立大学は、世界最高水準の教育研究の実施や高等教育の機会均等の確保、グローバル人材の育成、地方創生の中核として地域・産業界と連携し社会課題に対応する役割などを担ってきた。今後も、各地域の文化、社会、経済を支える拠点として、産業、教育、医療、福祉などに十全の責務を負っていく覚悟を示している。

 一方で、国立大学の活動を支える基盤経費である「運営費交付金」は、2004年度以降減少したままの状態が続いている。2004年から2024年までの20年間で、運営費交付金は1,631億円も減額。加えて、社会保険などの経費の上昇、近年の物価高騰、円安による基盤経費の圧迫などを考慮すると、実質的には予算が目減りし続けている状況にある。

 こうした中でも、質の高い教育研究活動を維持・向上していくために、寄付金などの外部資金や自ら収入を増やす努力を進め、地域の課題、国の課題、地球規模の課題の解決に教育と研究を通じて全力で取り組んできたが、その状況は「もう限界」の域に達しているという。

 国立大学の授業料を巡っては、中央教育審議会の特別部会で「年150万円に上げるべきだ」との意見が出るなど、議論を呼んでいる。一方、国立大学協会の永田恭介会長(筑波大学長)は、6月7日に行われた記者会見で「国立大の授業料について現時点では一律の値上げは難しい」との見解を示した。

 今回の声明では、「博士人材などの高度人材養成の促進」「社会人や女性、外国人など多様な人材の受入れ」「国全体の知のレベル向上」により社会と未来に寄与することを表明。あわせて、国立大学の担うミッションの実現と、国立大学の危機的な財務状況の改善に向け、「社会全体、国民ひとりひとりへの理解と積極的な参加、力強い協働をお願いしたい」と求めている。

《畑山望》

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